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      <title>世界一周旅行ときどき日記</title>
      <link>http://www.kakura.jp/hw/</link>
      <description>予定計画ガイドブック一切なし、目指すは飛行機なしで世界一周旅行。</description>
      <language>ja</language>
      <copyright>Copyright 2010</copyright>
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         <title>帰国して会社なんかやってます</title>
         <description><![CDATA[<span class="theday">2010-03-14 Sun 01:38 Omuta Fukuoka, Japan</span><span class="bgm">... D12 - Another Public Service Announcement <span class="notes">(Ft. Jeff Bass)</span></span>

<p>このブログ、旅を終えてすっかり放置状態になってます。帰国後、僕が何をやっているのか気になる人のために、一応いろいろと書いときます。</p>

<p>まず、<a href="http://daisuke.kakura.jp/">帰国後に始めたほぼ放置状態のブログ</a>があります。<span class="text-hw">Hello World!</span> はこのまま放置状態が続くと思われますので、ほぼ放置状態のブログを RSS 登録していただけると嬉しいです。</p>

<p>去年の暮ごろからだったかな、<a href="http://www.voiceblog.jp/tabitabi/">世界一周たびたびニュース</a>なんていうポッドキャストやってます。なぜかわかりませんが、けっこう人気があってリスナーが増えてるようです。旅で知り合ったやすやすさんが DJ（って言うのか?）です。<span class="quote">&quot;旅に関する世界のニュースをお届けする&quot;</span> という趣旨はリスナーを集めるための釣りで、実はただストレス解消に旅の思い出話をしてるだけです。</p>

<p>最近 twitter が大人気みたいですね。<a href="http://www.kakura.jp/hw/whatsold.html">過去の更新情報</a>を見ると、僕が twitter を始めたのは 2008-07-09 となってます。こっちも時々つぶやいてますので、よかったら<a href="http://twitter.com/daisuke_kakura">フォロー</a>してください。</p>

<p>それから宣伝です。</p>

<p>帰国して会社を始めました、<a href="http://toppin.jp/">凸品株式会社</a>といいます。デコピンではなくトッピンと読みます。</p>

<p>カバンとかスーツケースとか、旅行用品売ってます。もちろんバックパックも大小取り揃えてますよ。</p>

<p>アウトドア用品も、テントやら寝袋やら、わんさか売ってます。バックパック旅行にアウトドア用品は相性ピッタリです。旅に出る前に知ってたらどんなに便利だったか... と思う商品がたくさんあります。こういうのもいずれ会社のサイトで紹介していきたいところ。</p>

<p>旅行やキャンプ、ちょっと世界一周へ行かれる時は、ぜひ凸品のお店を覗いてみてください。ロゴをクリック↓</p>

<p style="text-align:center;"><a href="http://store.shopping.yahoo.co.jp/toppin/index.html" class="nohover"><img src="http://www.kakura.jp/hw/img/title_toppin_logo.png" /></a></p>
<br class="clear" />]]></description>
         <link>http://www.kakura.jp/hw/blog/2010/201003140138.html</link>
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         <pubDate>Sun, 14 Mar 2010 01:38:18 +0900</pubDate>
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         <title>新春 Hello World! まつり in 大阪 1月18日</title>
         <description><![CDATA[<span class="theday">2008-12-22 Sun 03:40 Omuta Fukuoka, Japan</span><span class="bgm">... The Kinks - Everybody's Gonna Be Happy</span>

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<!--
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<table id="hw2009">
<tr><th colspan="2">新春 <span class="text-hw">Hello World!</span> まつり</th></tr>
<tr><td class="i">開催日:</td><td>2009年1月18日 日曜 昼12時</td></tr>
<tr><td class="i">場所:</td><td>阪急グランドビル27F 和食居酒屋 咲くら</td></tr>
<tr><td class="i">予算:</td><td>一人3,500円くらい</td></tr>
<tr><td class="i">締切:</td><td><span class="del">1月4日あたり</span> 締切ました</td></tr>
<tr><td class="i">趣旨:</td><td>楽しく</td></tr>
</table>

<p class="emphasize">参加人数: <span class="text-big">35</span> 満員御礼</p>

<p>まいどおおきに。</p>

<p>来年1月に京都へ行くことになりました。いろんな人にその話をしていたら、会いたいやら会いたくないやら、ちょっと会いたいやら激しく会いたいやら、どんどん話が増えてきました。</p>

<p>こりゃ一人一人に会っていたら、いつ福岡に帰れるかわかりません。それに旅費が足りなくなってしまうので、帰りはヒッチハイクになりそうです。</p>

<p>そこで、どうせ旅人の友達はみんな友達なんだから、みんな集っていただきたいと思うわけです。きっとその方が楽しいに違いない。</p>

<p>6年の旅で、僕が得た一番の財産は出会いでした。この出会いと再会の機会を、旅のしめくくりに、どーんと作ってみたいと思います。最初で最後です。</p>

<p>自力で大阪まで来れる人なら、どなたでも歓迎です。一人では旅ができないウブな人は、頼れる彼氏でも、セクシーな二号さんでも、イヌでもキジでもサルでも連れてきましょう。</p>

<p>現役旅人、退役旅人、旅人予備軍、みんな来てください。いや、旅は関係ありません。不法滞在者でも、仮出所中だろうとかまいません。何かの偶然でこのサイトを見てくれた人は、どんどん参加してください。</p>

<p>どうせやるなら盛大に、と行きたいところですが、さてさて、何人集るか。会場の準備もあるので、参加表明はできるだけ早めにお願いします。</p>

<p class="emphasize">参加方法:</p>

<p>参加したいけどいいですか、という質問は無用です。このページのコメント欄で、いきなり参加表明してください。あの人が来るなら行こうかな、うわ止めとこ、などなど各自判断しやすいと思います。</p>

<p>メールアドレスは、間違えないように記入してください。<span class="notes">(アドレスは表示されません)</span> 会場が決まり次第、メールと、このサイト上で連絡いたします。</p>

<p>人数が重要かと思いますが、大阪市内で、いい会場を知っているという方、教えてください。安くて長時間使える、騒げる場所がいいなぁ。</p>

<p>チラシを配ってくれだとか、広告を貼らせてくれ、などなど、スポンサーになってもいいという酔狂な社長さん、<a href="http://www.kakura.jp/hw/contact.html">ご連絡</a>ください。収入があれば、すべて会費に回します。</p>

<p>もう思いきって、このことをあっちこっちにスパム的に知らせてください。景気の悪い世の中、新年から景気よく行ってみましょう。</p>

<p>ではまず、僕から参加表明いきます。</p>
]]></description>
         <link>http://www.kakura.jp/hw/blog/2008/200812220340.html</link>
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          <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">日本</category>
        
        
         <pubDate>Mon, 22 Dec 2008 03:40:09 +0900</pubDate>
      </item>
      
      <item>
         <title>帰国しました</title>
         <description><![CDATA[<span class="theday">The Day 2197 - 2008-11-11 Tue 10:07 Omuta Fukuoka, Japan</span><span class="bgm">... Tin Tin Out - Here's Where The Story Ends</span>

<div class="blog-photo-w">
<div class="photo1-tv">
<img src="http://www.kakura.jp/hw/photos/2008-11/15257t_2008-11-11_welcome_home.jpg" alt="すみれちゃんの歓迎" />
</div>
</div>

<p>出発から 2197 日、6年と6日。この記念すべき中途半端な日に、長い長い旅を終えて、大牟田の実家に、よっちと一緒に帰宅しました。</p>

<p>家族はみな元気、犬が5匹。自宅の窓には小学生の姪の歓迎メッセージがありました。</p>

<p>とりあえず、無事に帰宅しました、の報告。</p>
<br class="clear" />
]]></description>
         <link>http://www.kakura.jp/hw/blog/2008/200811111007.html</link>
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          <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">日本</category>
        
        
         <pubDate>Tue, 11 Nov 2008 10:07:57 +0900</pubDate>
      </item>
      
      <item>
         <title>凍えそうなカモメ見つめ泣いていました</title>
         <description><![CDATA[<span class="theday">The Day 2193 - 2008-11-07 Fri 22:14 Busan, Korea</span><span class="bgm">... 石川さゆり - 津軽海峡冬景色</span>

<div class="blog-photo-w">
<div class="photo1-t">
<img src="http://www.kakura.jp/hw/photos/2008-11/15044t_2008-11-04_tsugaru_strait.jpg" alt="船のレーダー" />
</div>
<div class="photo1-t">
<img src="http://www.kakura.jp/hw/photos/2008-11/15062t_2008-11-04_tsugaru_strait.jpg" alt="襟裳岬" />
</div>
</div>

<p>16泊17日の、貨客船による太平洋横断の旅が終りました。無事に釜山へ到着。それと同時に、37才の誕生日を迎えました。</p>

<p>あとは博多行きの船に乗りさえすれば、これで陸路による世界一周完了... と思いきや、よく考えたら6年前に釜山を通っているので、すでに世界一周は完了していた。</p>

<p>船を降りる際に、港湾使用料として5千円を払ったが、これは従業員が着服するためにでっちあげたものだった。韓国人は比較的まじめなので安心していたら、最後の最後で痛い目にあった。</p>

<p>6年間旅をして学んだことのひとつは、騙そうとする悪い人間はどこにでもいて、僕はころりと騙されるということだ。こうやって失なったお金はいったい、いくらになるのだろう。考えるだけ憂鬱になるので、止めておこう。</p>

<p>久しぶりの釜山の町並みは、6年前とほとんど変りなかった。ただ、街を歩けば日本語だらけ、日本語の看板と、日本語による客引きが圧倒的に増えている。いつのまにか日本文化が、どっしりと腰を据えている。いつかの韓国ブームが原因だと思うけれど、あれはどこへ行ってしまったのだろうか。</p>

<p>飛び込みで入ったホテルの従業員は、流暢な日本語を話す。観光案内のパンフレットは日本語だし、壁の注意書きも日本語。部屋では NHK が映り、吉幾三と石原詢子が、オヨネーズの麦畑を歌っていた。もう日本が間近なのを感じずにはいられない。</p>

<p>そうだ、船の話も書いておかないと。</p>

<p>本来、9日間で着くはずの船は、荷物待ちの関係で16日間に延びました。では、その追加された5日間をどうやって過ごしたかというと、太平洋のど真ん中で、ただプカプカと浮いていただけ。天気のいい場所を選んで漂流していたので、比較的揺れも小さく、船酔いの休憩にはちょうどよかった。</p>

<p>大西洋を横断した時は、最初から最後まで船酔いで寝ていました。今回も覚悟していたけれど、波の荒い太平洋では、なんと平気でした。</p>

<p>その秘密はジンジャーティー。出発前に観たテレビで、乗り物酔い防止には生姜が効くという実験をやっていて、僕はそれを信じて大量の生姜を買い込んで船に乗ったのです。毎日毎日、ジンジャーティーを飲み続けたら、暴風雨の荒波でもけっこう平気でした。</p>

<p>本だって寝転んで読めばいくらでも読める。前回は1冊も読めなかったけれど、今回は6冊も読んだ。ジャグリングも平気だったけれど、足元が動くので難しい。ただやはり、パソコンなど一点に集中する作業は苦しい。</p>

<p>冬の太平洋は波が荒く、とにかく寒い。あまりの強風に、危険すぎて甲板には出られない。そんな中、たくさんの日本船籍の小さな漁船が、波に揉まれながら漂っているのを発見。日本語による無線を傍受して、あぁ帰ってきたんだなぁと実感。</p>

<p>分厚い雲の向こうに襟裳岬の灯台が現れると、広大な太平洋が北海道と青森によって狭められていきます。そこを大小様々な船が行き交う。次第に町並みも見えてきた、あれは函館か。</p>

<p>連絡船が僕らの航路を横切って抜けていく、空には凍えそうなカモメ。僕の頭の中では、石川さゆりの津軽海峡冬景色が延々とリピートされているのであった。ちゃんとコブシもきいている、頭の中で。</p>

<p>世界を回ってきて、これほど食い入るように眺めた景色があっただろうか。実際には素通りして上陸できないわけだけれど、これほど到着して嬉しく思った国はなかった。</p>

<p>あと少し、もうすぐ日本に帰ります。</p>
<br class="clear" />
]]></description>
         <link>http://www.kakura.jp/hw/blog/2008/200811072214.html</link>
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          <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">韓国</category>
        
        
         <pubDate>Fri, 07 Nov 2008 22:14:34 +0900</pubDate>
      </item>
      
      <item>
         <title>帰国決定</title>
         <description><![CDATA[<span class="theday">The Day 2173 - 2008-10-18 Sat 03:18 Seattle, USA</span><span class="bgm">... Carole King - Home Again</span>

<p>もうかれこれ15年も前の話。僕はここシアトルで、プログラマーとして働いていた。当時はイチローもいなかったし、スターバックスもようやく日本に進出し始めた頃だった。</p>

<p>9カ月も雨が降り、いつも空はどんよりしていて、夏は短かい。すこぶる天気の悪い土地で、自殺率が全米一位。</p>

<p>しかしながら、プログラマーには外の世界の空の状態など関係なく、たとえ雨がシトシト降り続け、太陽の位置さえわからずとも、僕はこの町が結構好きだった。</p>

<p>今回の旅でも、シアトルには是非立ち寄りたいと思っていた。そして旅も終りに近づき、日本へ帰る船を探してみると、一番よさそうなのが偶然にもシアトル発の船だった。</p>

<p>その船は日本を通り過ぎて釜山まで行ってしまうけれど、福岡の僕の実家へは、東京よりも釜山の方が近い。出国が博多港だったから、博多港へ帰るというのも、締めくくりとしてはよさそうだ。</p>

<p>当初、釜山へは9日間で到着の予定だったけれど、クリスマス前というよくわからない事情により、出発前から7日間追加された。合計16日間の船の旅。おまけに出港も1日延びて、旅に出た11月7日ちょうどに帰国するという目論見は、あっさりと破れた。</p>

<p>もともと予定も計画もなしの旅なのだから、最後がうまくいかないのはご愛嬌。余計な計画なんか立てても無駄なことは、僕自身が一番よく知っている。物事はどうあがいても、うまくいかないものはいかないし、うまくいくものは、ほっといてもうまくいく。なるようにしかならない。</p>

<p>というわけで、帰国は決定したけれど、帰国日は依然として未定。予定計画一切なし。</p>

<p class="more-space">そうそう、行き先も何もない僕の旅にも、ただひとつ目標らしきものがありました。飛行機に乗らずに世界一周。どうやらそれは達成できそう、6年もかかったけれど...。</p>

<p>15年ぶりのアメリカは、ずいぶんと色褪せて見えました。若い時に感じた魅力はどこへ行ってしまったのか、不思議なくらいに。</p>

<p>アメリカの大自然は、さすがに圧巻だったけれど、社会は果してどうだろう。もちろん見慣らうべきところも多いけれど、決して真似してはいけないところも多い。</p>

<p>実体のないマネーゲームは破綻し、金融危機が世界中に波及した。医療費は狂っていて、病院に行けずに死ぬ人が大勢いる。企業は吸収と合併とレイオフを繰り返し、労働者は翻弄されるばかり。肥満は明かに世界一で、太り過ぎて歩けなくなるのか、電動車椅子に乗った人がやたらと多い。道端では、酒かドラッグで狂ってしまったホームレスが、見えない誰かと口論している。</p>

<p>アメリカは世界の縮図のような国かもしれない。すべてを手に入れた大金持ちがいて、社会保障さえない不法労働者がいる。綺麗なカフェの立ち並ぶ通りもあれば、昼間でも薄気味悪い地区もある。世界の富を集めて成り立った国だが、その国の中で、さらに富が偏っている。</p>

<p>そろそろ資本主義そのものが、転機を迎えつつあるのかもしれない。他人の住宅ローンを商品化し、食品の産地を偽装し、牛乳に毒物を混ぜ、医者は金のない患者を診ない。神の見えざる手は見えないどころか存在もせず、金儲けだけを突き詰めていった結果、暴走する欲望はついにはシステムそのものの崩壊を招いたようだ。</p>

<p>15年分の年齢を重ね、少しばかり無駄な知識を詰め込んでみると、アメリカの姿もずいぶん違って見えてしまう。そして6年ぶりの日本を、僕はどう感じるのだろう。</p>

<p>一番よく訊かれる質問に、自分から答えておこう。帰国したらまず何がやりたいか。</p>

<p>まずはやはり、美味い寿司を食いたい。産地偽装していない寿司を食いたい。</p>
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         <link>http://www.kakura.jp/hw/blog/2008/200810180318.html</link>
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          <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">アメリカ</category>
        
        
         <pubDate>Sat, 18 Oct 2008 03:18:00 +0900</pubDate>
      </item>
      
      <item>
         <title>グアテマラのチキンバスでスリを捕まえた 3/3</title>
         <description><![CDATA[<span class="theday">The Day 2095 - 2008-08-01 Fri 22:50 Antigua, Guatemala</span><span class="bgm">… B.B. King - There Must Be A Better World Somewhere</span>

<p>アンティグアの滞在も二カ月が過ぎた。そろそろビザも切れるし、出発しなければならない。僕が出発を決意する一番の理由は、ビザ切れだ。つまり半強制退去。</p>

<p>出発の前に、忘れてはならない大事な用事がある。スリを捕まえた時に、証拠品として提出した財布を返してもらわねばならない。裁判の日に観光局の通訳が迎えに来ず、そのまま梨のつぶてになっている一件。わずかな期待を抱いて連絡を待っていたが、結局何も進展はなかった。</p>

<p>連日警察署へ行き通訳の姿を探すが、事務所には誰もいない。もらった名刺に書いてある電話番号は通じないし、メールは不達で戻ってくる、連絡手段がない。来週には出発したいので、これ以上は待てない。僕は警察官に詰め寄り、他の通訳を呼び出してもらった。</p>

<p>現われたのは、僕が探している通訳の部下だという若い男。彼の話によると、例の通訳の男性は昇進して、もうアンティグアにはいないらしい。僕に連絡すると言い残したまま、裁判の件はほったらかして他所へ行ってしまったのだ。</p>

<p>今となっては、それはどうでもいい。僕は財布を返して欲しいだけだ。新しい通訳に連れられて、二カ月前に訪れた検察官の事務所へ向かった。</p>

<p>見覚えのある検察官がいた。若い通訳が財布の返還要求を伝えると、検察官はこう質問してきた。<span class="say">「財布を返してしまうと、この件は打ち切りになるが、それでいいのか?」</span></p>

<p><span class="say">「僕ができることはすべて協力した、事が何も進まない以上、もう僕にできることはありません」</span> 僕はそう答えた。そしてそれに対する返事は、なにもなかった。</p>

<p>担当が不在だというので、後でもう一度出直すことになった。そして午後、若い通訳は約束の時間に遅れて現われた。すべてがこうだから、何もうまくいかないのではなかろうか。遅れてきた通訳と、先ほどの検察官と一緒に、今度は裁判所へ向った。</p>

<p>現行犯逮捕した犯人を釈放した、いつぞやの裁判官がいた。財布を返して欲しいと同じことを伝える。そしてやはり、同じ問答が繰り返された。財布を返すとこの一件は終了してしまうが…。</p>

<p>そして僕も同じことを答える。<span class="say">「二カ月も経ちましたが、何の進展もありません。もう出発しなければいけないので、今日中に財布を返してください」</span></p>

<p>裁判官は、今日中という僕の言葉に反応した。返して欲しいのなら、なぜもっと早く言わないのか、来週までかかると言い出した。</p>

<p><span class="say">「いいえ、今日中です、僕は二カ月も待ったんです」</span> two months をことさら強く発音して、僕はにべもなく反論した。本当は絶対に今日中である必要などない、しかし、通訳と検察官と裁判官、全員が揃っている今を逃したら、次はまた二カ月後になりかねない。</p>

<p>裁判官の承諾をもらい、検察官の事務所へ引き返した。そして、証拠品返還のための書類が作られ、僕の財布が入っている、密封された封筒が開けられた。</p>

<p>そしてまた、新たな呆れ返る事実が発覚した。</p>

<p>なんと封筒の中には、紛失したはずの犯人から押収したカミソリの刃が入っていた。それを見た瞬間、僕はおもわず声を荒げた。カミソリの刃が紛失したと僕に伝えたのは、他ならぬこの検察官本人なのだ。</p>

<p>しかも検察官は、そのカミソリの刃をつまみ上げると、何ごともなかったかのように封筒へ戻した。一体どういうことだ。</p>

<p>声を荒げる僕を無視して、検察官は書類を突き出し、財布を返すからサインをしろという。そして僕はまた驚いた。財布に入っていた現金が、きれいさっぱりなくなっている。わずか1ドル程度のお金だが、警察に証拠品として提出したものが、なくなっているのだ。</p>

<p>検察官は、そんなものは知らないと言うだけ。カミソリの刃のことも、知らないと言うだけ。怒鳴り付ける僕の言葉を、若い通訳はわけもわからず検察官に伝えている。</p>

<p>もう誰も、何も、信用できない。警察官、検察官、裁判官、みんなして茶番劇を演じ、仕事のようなものをそれらしく演じているのだ。そして一人笑っているのは、今日もどこかで熱心に仕事をしている、スリの男だ。</p>

<p>僕は受け取りの書類にサインを書きなぐった。人生で一番汚ないサインだった。検察官と通訳の話はまだ続いていたが、僕は、もうこれ以上時間を無駄にしたくないと言い残して、事務所を出た。そのまま表へ出て、通訳を待たずに宿まで歩いて帰ることにした。</p>

<p>誰が嘘をついたのか、誰が金を盗んだのか、今となっては何もわからないし、どうすることもできない。それにもう、どうでもいい。今日はこれだけのために、午前中から夕方までかかった。僕のイライラは頂点に逹し、堪忍袋の緒は最後の最後で切れてしまった。</p>

<p>宿へ向かって歩く足が、怒りのために段々速くなる。15年以上も使ってきた財布。僕は久しぶりに戻ってきたその空っぽの財布を、怒りと一緒にポケットにねじ込んだ。</p>
]]></description>
         <link>http://www.kakura.jp/hw/blog/2008/200808012250.html</link>
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          <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">グアテマラ</category>
        
        
         <pubDate>Fri, 01 Aug 2008 22:50:03 +0900</pubDate>
      </item>
      
      <item>
         <title>グアテマラのチキンバスでスリを捕まえた 2/3</title>
         <description><![CDATA[<span class="theday">The Day 2063 - 2008-06-30 Mon 20:02 Antigua, Guatemala</span><span class="bgm">… Antonio Carlos Jobim - Antigua</span>

<p>警察署には流暢な英語を話す通訳がいた。</p>

<p>実はスリの男には仲間がいたらしい。現場に一部始終を見ていた学生の目撃者がいて、背の高い男が一緒だったと証言したという。心あたりがないかと訊かれて、思い当たった。</p>

<p>僕が後ろ向きで身動きがとれなくなっていたとき、一番後ろの座席にひとりで座っていた男がいた。バックパックを押し出すのを手伝ってくれたので、僕はお礼を言った。それに気をとられている間に、財布を盗まれたのだ。なんだ、あいつもあんな笑顔で悪人だったのか。</p>

<p>通常、スリは複数犯が多い。一番狙われるのは、バスなどの乗り降りの際だ。まず被害者の前後に回り、はさみ撃ちにする。前にいる方がわざと手間取って通路を塞ぎ、人の列が混雑し、大勢の人間が密着した状態を作り出す。そして後方にいる仲間が、被害者のカバンから貴重品を抜く。</p>

<p>時には、その大勢の密着した人間ぜんぶが仲間だったりする。たとえ実行犯を吊るし上げても、逆に返り討ちにあってしまう。バスの運転手さえも仲間の場合もあり、犯人の逃亡を幇助したりするから厄介だ。</p>

<p>人の列の中や、せまい通路などでは、カバンは必ず腕に抱いていなければならない。僕はいつも鉄則を守っていたが、今回は犯人たちのチームワークにしてやられた。もし、財布を盗られたことに気づくのが一瞬遅かったら、財布は仲間の手に渡り発見できなかっただろう。</p>

<p>結局、共犯の男は捕まらなかった。</p>

<p>警察で一部始終を話し終えると、犯人を刑務所に入れたいから、財布を証拠品として貸してくれという。悪人を懲らしめるためならばと快諾した。お金がたくさん入っていた方がいいのか、わざわざそんなことまで訊いたが、少しだけ入っていればいいらしい。</p>

<p>調書の作成が終わると、続けてその足で検察官の事務所へ行き、告訴することになった。また車に乗って移動する。</p>

<p>検察官を待つ間、通訳の男性と雑談していて、ある事実を知らされた。警察の調書では、財布は僕が自分で奪い返したのではなく、警察が犯人のポケットから発見したことになっているというのだ。</p>

<p>犯人を間違いなく刑務所に送り込むために、警察は調書を捏造していた。告訴の直前になって、僕に口裏を合わせてくれという。こうなると、どっちが悪人だかわからない。</p>

<p>僕が検察官にありのままを話したらどうなるのか、考えもしなかったのだろうか。それとも、通訳の男性が僕の証言を適当に言い変えるつもりだったのだろうか。恐らくは、誰も何も深くは考えていなかったのだろう。僕が、何を言って何を言ってはいけないのか確認しようと提言すると、通訳は慌てて警察署へ電話して調書の内容を確かめていた。</p>

<p>何はともあれ、あの男がスリであることは間違いない。警察もあくどいことをするが、どっちがより悪いかを考えて、僕は警察に従うことにした。犯人はカミソリの刃も所持していたし、しかも前科二犯だという。僕としては、たっぷり刑務所に入っていてもらいたい。男が娑婆の空気を吸っている間、また別の旅行者が被害にあうのだ。</p>

<p>これで一件落着、だと思われたのだが…。</p>

<p>後日、証拠品として提出した財布を受け取りに行き、驚愕の事実、というか、呆れ返る失態を知らされた。</p>

<p>犯人が裁判で無実を主張し、あっさりと認められ、すでに釈放されたというのだ。</p>

<p>犯人のいい分はこうだ。財布が自分のポケットから発見されたというのは、警察の嘘である。そう、それは確かに嘘だ。次に、財布の中身がわずか1ドル程度というのは不自然。そりゃそうだ、犯人は僕の財布に大量の現金があったのを実際に見ている。最後に、パスポートのコピーが入っているのも不自然で、警察がわざと入れたと主張したらしい。</p>

<p>結局どっちもどっちで嘘を言っているわけだが、裁判官は犯人の主張を受け入れた。僕が理解できない、何か新しい種類の冗談だとしか思えない。</p>

<p>僕は常に、財布にパスポートのコピーを入れている。宿のチェックイン、両替、バスチケットの購入、クレジットカードの利用、検問、パスポートの提示を求められる場面はいくらでもある。そんなとき、大抵の場合はコピーが役にたつ。旅行者だからこそ、パスポートのコピーを所持しているのは、ごく自然なことだ。</p>

<p>現金が少なすぎたのも、犯人にとって有利に働いた。100ケツァール <span class="yen">(1,400円)</span> 以下の窃盗の場合、罪がすごく軽いという。今さら言うな、だから僕が最初に訊いたのに。</p>

<p>そして極めつけは、犯人から押収したカミソリが、裁判で証拠品として提出されなかったという。なんと警察が紛失したのだ。僕はひっくり返るほど呆れた。</p>

<p>そして不思議でならないのが、なぜ被害者である僕が不在の状態で裁判が行なわれ、犯人だけの主張が認められて釈放が決まってしまうのか。それは、はたして裁判と呼べるのか。そういえば、現場にいたという目撃者の学生はどうした。きっと警察は住所氏名さえ控えていないのだろう。</p>

<p>警察の誰かが金を握らされ、証拠を隠滅したのか。いくらなんでも裁判官が金を握ったというのは、グアテマラをバカにしすぎだとも思うが、ありえない話でもない。前科二犯の犯人、いや容疑者は、国選弁護人を使いあっさりと無料で無罪放免になったという。</p>

<p>僕は呆れっぱなしで口が開きっぱなしだったかもしれない。検察官が申し分けなさそうに言うには、僕が証言台に立つのならもう一度起訴できるらしい。僕はためらうことなく答えた、証言します。今ごろあの男は、次の旅行者を狙って仕事を再開しているに違いないのだ。</p>

<p>そしてそれから二十日もたって、ようやく裁判が行なわれた。その間にいったい何人の被害者が増えたのか。</p>

<p>指定された時間通りに、通訳と一緒に裁判所に出頭した。裁判官は自分の失敗を悟ったのか、あきらからに不機嫌で、顔面の筋肉が小刻みに痙攣していた。そもそも、これほど長期滞在して粘る旅行者などいないに違いない。裁判官にとって僕は、判決をくつがえしにきた忌々しい存在でしかない。</p>

<p>これもおかしな話だが、裁判は容疑者不在で行なわれる。犯人側の弁護士が出頭するので問題ないのかもしれないが、その弁護士が現われない。裁判は延期かと思いきや、廊下を歩いていた無関係の若い男が呼び止められて、いきなり代理の弁護士に任命された。もうすべてが茶番劇でしかない。</p>

<p>よし顔ぶれはそろった、と思ったところで、裁判官が僕のパスポートを見せろという。持って来いとも言われていないし、持ってきていない。先日起訴状を作った際にパスポートのコピーを提出した、そっちにあるはずだと主張したが無視。なばら、そこにある証拠品の財布の中にコピーがあると主張したが、それではダメだという。</p>

<p>結局、裁判官は益々不機嫌になり、裁判は一週間後に延期となった。</p>

<p>僕がパスポートを持ち歩かない理由は、あなたが逃がしたようなスリがたくさんいるからで、財布にコピーを入れているのは、あなたのように突然見せろと言う人がいるからですよ。そう言ってやりたかったが、言えるわけもない。</p>

<p>そしてさらに一週間。裁判の日の朝。</p>

<p>迎えに来るはずの通訳が現れない。警察署まで行ってみるが、不在。携帯電話も通じない。通訳がいなければ、自分だけで裁判所へ行っても意味がない。</p>

<p>結局昼ごろになって通訳がのこのこと現れた。別の町へ行っていた、自分の代りに同僚を迎えに行かせた。というのが彼の言いわけだが、真相は闇の中。</p>

<p>今日の午後に、新たに裁判の日取りを連絡する。そう言い残したまま、通訳からの連絡はない。なんの音沙汰もない。最後まで信じていたひとりがいなくなり、誰もいなくなった。</p>

<p>そろそろ財布だけでも取りに行こうと思う。紛失しました、そういう落ちがないといいのだが。</p>

<p>あれから被害者はどれだけ増えたのだろうか。どうせスリなんてたくさんいるのだから、捕まえても無駄に違いない。グアテマラの警察にとって、旅行者のわずかな正義感など、所詮は仕事を増やすだけの厄介なものでしかないのだろう。</p>

<p>そして僕は溜息をひとつ。</p>

<p>グアテマラもやはり、こうなのか。</p>
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         <link>http://www.kakura.jp/hw/blog/2008/200806302002.html</link>
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          <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">グアテマラ</category>
        
        
         <pubDate>Mon, 30 Jun 2008 20:02:01 +0900</pubDate>
      </item>
      
      <item>
         <title>グアテマラのチキンバスでスリを捕まえた 1/3</title>
         <description><![CDATA[<span class="theday">The Day 2062 - 2008-06-29 Sun 16:12 Antigua, Guatemala</span><span class="bgm">… Dry &amp; Heavy - The Dog And The Chicken</span>
<div class="blog-photo-w">
<div class="photo1-t">
<img src="http://www.kakura.jp/hw/photos/2008-07/13035t_2008-07-10_guatemala_antigua.jpg" alt="グアテマラのチキンバス" />
</div>
</div>

<p>ニカラグアで強盗に襲われた日から、わずか二日後。今度はグアテマラでスリにあった。</p>

<p>首都のグアテマラシティに到着後、すぐにアンティグアへ向かうことにした。一時間ほどの距離。治安の悪い場所はもう、うんざり。大きな荷物を背負ったまま、路線バスに乗り込んだ。</p>

<p>現地人が乗るバスは、チキンバスと呼ばれている。たぶん、乗客がカゴに入れられた鶏のように、身動きさえとれないほど詰め込まれるからだろう。</p>

<p>車内には横長のベンチシートが二列、ずらりと並んでいる。真ん中には足一本しか入らないほどのせまい通路。乗客はカニのように横向きになって、この通路を進む。利便性や快適さなどは、まったく無視した設計になっている。チキンバスの乗客は、チキンも同然ということらしい。</p>

<p>バスの中ほどまで進み、大きな荷物を窓側に置いた。自分自身は通路側に陣取った。よっちは僕の真後ろの席に座った。</p>

<p>バスに揺られてしばらく進むと、通路の反対側の席に無精髭の男が乗り込んできた。他にも席はたくさん空いているにもかかわらず、僕の隣を選んだ。しかも窓側ではなく、通路側に寄って僕の真横へ来た。</p>

<p>乗車賃を払うためにカバンから財布を取り出すと、男はしっかりと財布の中身まで見ていた。真横にいるのだから、当然視線を感じる。よっちも後ろから声をかけてきた、男が見ているから気をつけて、と。</p>

<p>そしてアンティグアに到着し、男は犯行に及んだ。</p>

<p>乗客が全員ぞろぞろとバスを降りていく。僕は荷物が大きいので、最後に降りようと席に座ったままだった。すると隣の男が、わざわざ、アンティグアへ着いたぞと声をかけてきた。</p>

<p>親切な行為に思えるが、僕は聞こえないふりをした。男はもう一度、アンティグアだと僕に伝えてきた。このしつこさが逆に怪しい。全員が降りようとしているのだから、教えてもらうまでもなく、アンティグアに間違いない。僕は警戒心いっぱいで、目礼だけを返した。</p>

<p>全員が前方のドアへ向かった後、僕とよっちはバスの後ろのドアへ向かった。大きな荷物を通すのに、後ろのドアの方が簡単そうに思えたからだ。</p>

<p>70リットルの荷物を背負い、せまい通路を後方に向かって進んだ。貴重品は体の前のウエストバッグの中、両手の間にはさんだ位置に固定してある。他の乗客は全員、前のドアへ向かったが、無精髭の男だけは僕の後ろにピタリとついてきた。</p>

<p>後ろのドアはバスの背面で観音開きになっていた。地面に下りるための小さなハシゴが伸びている。まずは、よっちが先に下りた。僕が下りようとすると、背中の荷物がひっかかった。ドアは片方しか開いておらず、座席の背もたれが邪魔をしていた。</p>

<p>僕は後ろ向きなら通れるかもしれないと考え、荷物を背負ったまま、せまい車内でくるりと反転した。すぐ後ろにいた無精髭の男と向き合うかたちになった。</p>

<p>背中の荷物を先に通そうとするが、やはりだめだった。僕は後ろ向きのまま、荷物ごとドアにはさまった。しかたなく荷物はあきらめて、なんとか体だけ抜け出すことにした。</p>

<p>ようやく抜け出して、地面に足をつけ、顔を上げたその瞬間だった。男の左手に僕の牛革の財布が握られていた。そして腕に掛けられた上着の下に、さっと消えていった。</p>

<p>瞬間的にバッグを確認した。チャックが開いていた、財布もない。ドアにはさまってもがいていたので、抜き取られた感触はまるでなかった。僕とよっち、二人ほぼ同時に声を上げた。男の手から財布を奪い返し、僕は男をバスから引きずり下した。</p>

<p>僕らの大声を聞いて、あっという間に人だかりができた。どうした、何があった、次々質問してくる野次馬に、僕はわざと大声で答えた。この男が財布を盗んだ!! 警察を呼んでくれ!!</p>

<p>男は知らぬ存ぜぬという態度をとりはじめた。僕は警察を呼べと大声で叫びながら、男を取り抑えようとした。男は敵意をむき出しにして、僕の手を払いのけた。またか、つい先日強盗に襲われたばかりなのに、なぜこうも悪人が多いのか。</p>

<p>僕は男のシャツのボタンを引きちぎり、顔面を殴りつけた。ニカラグアの強盗への怒りが再燃し、無意識のうちに、このスリの男の罪に上乗せされた。</p>

<p>男は僕の手を払いのけながら、その場を離れるべく歩き出した。走って逃げることはなかった。走ると目立つと思ったのか、もしくは男が太っていたからかもしれない。僕はなおも警察を呼んでくれと叫びながら、逃がさないように男を追った。周囲を野次馬が取り囲んで、輪になって一緒に移動した。よっちがひとり、荷物を見張るために残された。</p>

<p>20メートルほど歩いたところで、警官が次々とやってきた。僕はホッとした、まさか自分で男を捩じ伏せるわけにもいかない。警官が男の体を調べると、身分証の後、カミソリの刃が発見された。3センチ四方ほどの大きさで、片側は金属のカバーがついている。掌で隠してカバンを切るのに都合がいい。</p>

<p>よっちのことが気になって振り返ると、自分の荷物を背負い、僕のバックパックを半ば引きずるようにしてやってくる姿が見えた。誰かが運んでやると申し出たらしいが、信用できないのでひとりで運んできたという。そりゃそうだ、こんなに立て続けに悪人に出会えば、もう誰も信用できない。</p>

<p>男の手に手錠がはめられた。事情聴取のため、僕とよっちも同行することになった。荷物を持ったまま、宿よりも先に、またもやパトカーに乗って警察署へ…。</p>
<br class="clear" />
]]></description>
         <link>http://www.kakura.jp/hw/blog/2008/200806291612.html</link>
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          <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">グアテマラ</category>
        
        
         <pubDate>Sun, 29 Jun 2008 16:12:27 +0900</pubDate>
      </item>
      
      <item>
         <title>ニカラグアで強盗に襲われた 3/3</title>
         <description><![CDATA[<span class="theday">The Day 2026 - 2008-05-24 Sat 23:52 Managua, Nicaragua</span><span class="bgm">… Biohazard - Never Forgive Never Forget</span>
<div class="blog-photo-w">
<div class="photo1-tv">
<img src="http://www.kakura.jp/hw/photos/2008-05/13018t_2008-05-24_nicaragua_managua.jpg" alt="強盗に襲われて出血" />
</div>
</div>

<p>警官の話では、犯人の一人を拘束したから来てくれという。僕らが大急ぎでホテルへ逃げ込んだのを聞きつけ、ここまでやって来たようだ。</p>

<p>よっちを部屋に残して鍵をかけさせ、僕だけ警官の後について表へ出た。ピックアップトラックのパトカーが一台止まっており、もう一人警官がいた。後部座席には犯人らしき男が座っている。</p>

<p>警官がその男を車から引きずり出した。強盗は何人いたのか訊かれ、僕は二人だと答えた。すると、野次馬が取り囲むその場で、公然と拷問が始まった。平手打ちのあと、犯人を路上に捩じ伏せ、腕の関節を絞り上げた。もう一人の所在を吐かせようとしているらしい。犯人の絶叫が周囲に響いた。</p>

<p>僕はさっき抱いた憎悪が込み上げてきた。この男のせいで、よっちは血を流し、涙を流した。警官は犯人の上に馬乗りになり、片腕を捩じ上げている。もう一人の警官はそれを眺めていた。僕は絶叫をあげる犯人に歩み寄り、その背中を力まかせに蹴り上げた。</p>

<p>警官に注意を受けるかと思いきや、何も言わない。それはそうだ、警官自ら暴行を加えている。僕は右足に渾身の力を込めて、今度は顔面を蹴り上げた。</p>

<p>こんな形でしか恨みを晴らせないのが情けない。殺したいほど憎い男は、どうせ数カ月ほど刑務所に入るだけで、再び自由になるのだ。治安の悪い国ほど、刑務所が足りずに刑期が短かくなる。もしくは保釈金を積むだけかもしれない。自由になれば、また無抵抗な旅行者を襲うのだろう。</p>

<p>犯人を逮捕するためには僕らの供述が必要だと言うので、よっちも連れて警察署まで行くことになった。犯人はパトカーの荷台に乗せられた。警官が荷台のふちに腰をおろし、うつぶせになった犯人の背中に足を乗せている。まるで狩りに行って、鹿でも仕留めたような姿だ。</p>

<p>パトカーに制服姿の警官が二名、衆人環視の中での拷問、拳銃や無線などの備品もすべて本物。なのに、僕の心には、まだ恐怖心があった。もしや、この警官さえも犯人の仲間なのではないか、これは大掛りな芝居なのでは。</p>

<p>通常ならばそんなことは考えもしないだろう。しかし人間の心というのは、強烈な恐怖を与えられると、すべてに怯えてしまうものらしい。大きな鉄の門をくぐって、そこが警察署だと納得できるまで、僕はどこか安心できなかった。</p>

<p>一国の首都の警察署だというのに、英語を話せる人間はひとりもいなかった。僕がわずかに知っているスペイン語の単語と、身振り手振りだけで意思の疎通が行なわれた。</p>

<p>犯人の男は、僕らが事情聴取を受ける部屋の真ん中に転がされていた。足元に転がしたまま話を始めるというので、さすがに向こうへ追いやってくれと頼んだ。それでもせいぜい部屋の隅へ行っただけで、話はすべて聞こえてしまう。</p>

<p>しかも犯人は、自ら起き上がって歩いて部屋の隅まで移動した。手錠はおろか、拘束器具はなにもない。部屋のドアにも鍵などかかっておらず、隙をみて逃げるのは簡単だ。</p>

<p>なぜ手錠をかけないのか。国が貧しすぎて手錠もないのだろうか。ニカラグアは中米で最も貧しい国だという。そういえば乗ってきたパトカーは廃車同然で、車検も通らない代物だった。</p>

<p>いや、これは別の理由だろう。犯人が逃げないのは、逃げれば射殺されるからではなかろうか。警察にしてみても、刑務所で犯人を養うよりも、殺してしまう方が手っ取り早いのかもしれない。少なくともこの状態は、両者の間でなんらかの暗黙の了解があるとしか解釈できない。</p>

<p>隣のコスタリカで、宿の主人がしてくれた話。ニカラグアから不法移民がやってくるが、彼らにはガードマンのような危険な仕事しかない。仕事を見つけられなかった者は強盗となり、ガードマンと撃ち合う。つまりニカラグア人同士で殺し合う。自分の国でも、どうやら同じ状況らしい。</p>

<p>事情聴取はほとんど話が通じないまま終了した。最後に犯人の顔を確認させられた。犯人は床に仰向けに寝転がったまま、顔をこちらへ向けた。両手の人差し指を左右の頬に当て、僕に対しておどけて見せた。</p>

<p>気が狂っているのか、自分が襲った相手に対する態度とは思えない。警官がここで射殺することを許してくれるのなら、僕は躊躇なく引き金を引いただろう。</p>

<p>僕らが部屋を出る際、犯人が1ドルくれと言いだした。呆れて物も言えない。とても同じ人間だとは思えない。こんな人間を大量に生み出しているこの国は、完全に崩壊しきっているのではなかろうか。このままで未来などあるのか。</p>

<p>もう帰っていい、と警官が言った。外は真っ暗、たとえタクシーでも恐ろしくて帰れるわけがない。僕はパトカーで送ってくれと要求した。金はあったが、タクシー代は持っていないと嘘をついた。</p>

<p>車が用意されるまで一時間も待たされた。その間に犯人は留置場へ移された。その留置場から大勢の人間の歌声が聞こえる。それは犯罪者たちの合唱だった。悪魔たちの呪いの声だった。</p>

<p>たまたま裕福な人間と、たまたま強盗に育った人間。貧乏だという理由は、奪ってもいい理由にはならない。しかし彼らには、それが正当な理由なのかもしれない。この世界を隔てているものは何なのか。僕に答は出せそうにない。</p>

<p>留置場の陽気な歌声は、いつまでも夜空にこだましていた。</p>
<br class="clear" />
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         <link>http://www.kakura.jp/hw/blog/2008/200805242352.html</link>
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          <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">ニカラグア</category>
        
        
         <pubDate>Sat, 24 May 2008 23:52:35 +0900</pubDate>
      </item>
      
      <item>
         <title>ニカラグアで強盗に襲われた 2/3</title>
         <description><![CDATA[<span class="theday">The Day 2026 - 2008-05-24 Sat 23:22 Managua, Nicaragua</span><span class="bgm">… Tears For Fears - Mad World</span>
<div class="blog-photo-w">
<div class="photo1-t">
<img src="http://www.kakura.jp/hw/photos/2008-05/13013t_2008-05-24_nicaragua_managua.jpg" alt="首都なのにビルはひとつだけ" />
</div>
</div>

<p>文字通り、僕らは転がり込むようにホテルの部屋へ入った。鍵をかけ、荒い息と張りつめた神経を静めようと努めた。</p>

<p>よっちの右肘から血が滲んでいた。Tシャツにコンクリートを引きずられた跡がある。僕の方は転倒した時に尾てい骨を強打したらしく、時間の経過と共に痛みが増した。</p>

<p>少しだけ恐怖の退いた心に、代りに満たされたのは憎悪だった。犯人を殺してやりたい。本気でそう願った。</p>

<p>人間が人間を襲うなど、いかなる理由があろうとも許されるはずがない。映画を観ているだけでは、決して感じることのない、強烈な憎悪だった。</p>

<p>犯罪者の人権など、所詮は綺麗事なのだと知った。被害者にとっては、犯罪者の存在そのものが憎むべき対象なのだ。どこにもぶつけることのできない怒りは、僕の中でグルグルと、とぐろを巻いて膨れあがった。人間の醜さと愚かさ、その人間が作った無秩序な社会を呪った。</p>

<p>鞄を調べると、一眼レフカメラのレンズが一本なくなっていた。逃げる間、鞄が開いていることにも気付かなかった。</p>

<p>レンズはソフトケースに入っていた。そのケースはひもで鞄に繋いであったので、落としたということはない。犯人は鞄のファスナーを開け、レンズを取り出し、なおかつひもを外して奪ったのだ。ひとつ収穫があったので、鞄は諦めて逃げたのだろう。</p>

<p>鞄には貴重品のすべてが入っていた。一眼レフカメラ、レンズ三本、パスポート、財布と現金、カード、そして明日のバスチケット。もしこれを奪われていたら、考えるだけでもおぞましい。</p>

<p>外出の際、僕は行き先に応じて持っていく物を選ぶ。しかし今回、危険だと聞いていたにもかかわらず、すべてを持って行ってしまった。</p>

<p>後進国では、宿の部屋から荷物を盗まれる危険性もある。到着したばかりのホテルで、信用できないのもあった。わずか半日の滞在時間しかなく、写真を撮る機会は他にないのもあった。中米は南米よりも安全だ、という刷り込みもあった。だが、どんなに言い訳を並べようと、もう事は起こってしまった。</p>

<p>スリや置き引き、詐欺なら自分で避けられる。実際に今までの五年半、一度も被害にあったことはない。そして強盗も、僕は自分自身が注意することによって回避してきたのだと思っていた。しかし、それは間違いだったと思い知らされた。</p>

<p>僕は今まで <span class="quote">&quot;たまたま幸運に&quot;</span> 強盗にあわなかったのだ。今回のような状況は、思い起こせばいくらでもある。真っ昼間に強盗が襲ってくるなど、話には聞いても、自分の身に起こるとは想像しがたい。その類の話はいつも、どこかの誰かか、友達の友達の話で、それが真実だとわかっていても、現実としてとらえることができなかった。</p>

<p>気分を落ち着かせ、よっちの傷の手当をした。持ち帰り用に買ったフライドチキンが無いことに気付いた、襲われた場所で落としたのだろう。今夜の夕食はなくなった、もっとも食欲もなくなっているが。</p>

<p>突然、背後でドアが激しくノックされた。男の声がスペイン語で何やら叫んでいるが聴き取れない。まさか犯人がやってきたのではなかろうか。ありえない事だが、少しだけ薄れてきた恐怖心は、ノックの音で簡単に揺り戻された。</p>

<p>誰だ、とドア越しに訊ねると、警察だという。窓の隙間から制服姿の男が見えた、警察無線の音も聴こえる。どうやら本物らしい。僕は、そっとドアを開けた…。</p>
<br class="clear" />
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         <link>http://www.kakura.jp/hw/blog/2008/200805242322.html</link>
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          <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">ニカラグア</category>
        
        
         <pubDate>Sat, 24 May 2008 23:22:55 +0900</pubDate>
      </item>
      
      <item>
         <title>ニカラグアで強盗に襲われた 1/3</title>
         <description><![CDATA[<span class="theday">The Day 2026 - 2008-05-24 Sat 22:45 Managua, Nicaragua</span><span class="bgm">… Biohazard - Kill Or Be Killed</span>
<div class="blog-photo-w">
<div class="photo1-t">
<img src="http://www.kakura.jp/hw/photos/2008-05/13015t_2008-05-24_nicaragua_managua.jpg" alt="マナグアのモール" />
</div>
</div>

<p>ニカラグアのグラナダで数日を過ごした後、一泊二日でグアテマラまで行く国際バスのチケットを買った。</p>

<p>ニカラグアとグアテマラの間には、ホンジュラスとエルサルバドルの二つの国がある。治安もあまり良くないし、僕らはこの二カ国をバスで一気に駆け抜けることにした。</p>

<p>長いこと旅をしていると、中南米のスペイン語圏というのは、どの国も同じに思えてきた。言葉は当然ながら、人の顔も食文化も似通っていて、次の国へ行っても何の刺激も受けなくなってしまう。</p>

<p>僕は、特に行きたい理由もなく興味もわかない場所へは、行かないことにしている。行くか行かないか迷ったら行かない。僕が求めるのは、のんびり過ごせる場所。というわけで、比較的評判のいいグアテマラまで、のんびりするために急ぐことにした。</p>

<p>バスはニカラグアの首都、マナグアから出発する。グラナダからマナグアまでは、路線バスで一時間ほど。昼ごろ出発して、目的の TICABUS ターミナルへは苦もなく着いた。</p>

<p>マナグアは治安が悪いと聞いていた。それで僕らは用心して、バス会社経営のホテルに部屋を取った。ターミナル内にあるので、大きな荷物を背負ってうろうろする必要がない。</p>

<p>出発は明朝5時。エルサルバドルの首都サンサルバドルで、ここと同じようにバスターミナルのホテルで一泊し、その翌日にはグアテマラに到着する。後はバスに乗り込みさえすればいいだけだ。</p>

<p>しかし、事件はこの出発地点のマナグアで起きた。僕とよっちは、強盗に襲われた。</p>

<p>ホテルの周辺には食事できるような店は何もない。5分ほど歩いたところにショッピングモールがあるのを知り、僕らはそれを目指してホテルを出た。午後二時、まだ日は高い。</p>

<p>モールで食事をし、しばらく時間を潰した。少し日が傾いてきたので、夕食用にフライドチキンを買い、帰りも徒歩でホテルを目指した。</p>

<p>ホテルまで 100m。背後の人の気配に無意識のまま振り向くと、二人組の男が突進してきて、今まさに僕らに襲いかかろうとする瞬間だった。二つの凶悪な顔が視界に入った。両方の視線が僕の顔を捉えていた。その真剣で冷酷な目が、冗談などではないことを伝えていた。</p>

<p>驚きよりも、恐怖の感情が先だった。次の瞬間には、首を守れと本能が指令を出した。中南米の強盗は背後から首を絞め、相手を気絶させてから金品を奪う。僕が振り向いたせいか首を絞められることはなかったが、そのかわり抵抗する時間もなかった。</p>

<p>鞄は背中側、臀部の上にあった。腰をぐるりと巻く幅広いハーネスが付いており、大きなバックルで止めてある。それとは別に肩ひもがタスキ掛けになっており、鞄は完全に体に密着している。もともとロッククライミングに使う鞄で、ちょっと引っ張ったくらいでは外れない。</p>

<p>体を反転して強盗と対峙する暇もなく、一人の男に組付かれ、もう一人が鞄を引っ張った。コンクリートの上に押し倒された僕にできたのは、鞄のひもを掴んでおくことと、ポリシアッ!! ポリシアッ!! と声の限り警察を呼ぶことだった。</p>

<p>自分がどういう状態にあるのかもわからない。押さえ付けられているのか、起き上がることができない。よっちの悲鳴も聞こえる。犯人が武器を出すかもしれない。奴らは携帯電話ひとつ奪うのに人を殺すこともある。混乱と恐怖のため、感情と思考が麻痺している。</p>

<p>僕の体から引き剥がされた鞄を、よっちは身を挺して守った。強盗二人と、僕ら二人、絡み合いながら路上に倒れ込んでいる。僕は声の限り叫び続けた。強盗は何も言わない、最後まで一言も発せず、奪うという目的のためだけに行動していた。</p>

<p>一台のタクシーが、倒れているよっちの頭をかすめて通りすぎた。タイヤで髪の毛を踏みそうな距離。運転手が犯人への威嚇のためにやったのかもしれない。少し離れたところには人もいたが、誰も助けには来ない。助けに入れば、自分が襲われるのを知っているのだ。</p>

<p>わずか数十秒の出来事だったろう、犯人が走り去ると体に自由が戻った。右手で固く掴んでいた鞄は、まだ僕の手にあった。ハーネスと肩ひもは外されていた。僕の右手は最後まで、無意識の抵抗を続けたらしい。</p>

<p>鞄を抱きかかえ、僕らは逃げた。犯人が逃げたにもかかわらず、僕らは走ってその場から逃げるしかなかった。心は完全に恐怖に支配されていた。よっちは泣き叫んでいた。</p>

<p>思考が麻痺していて、すぐ近くのはずなのにホテルの位置がわからない。道ゆく人に、バスターミナルはどこだと走りながら訊いた。</p>

<p>進行方向から三人の男が歩いてくる、また強盗だと思った。道を変えなければ、しかしその先の道にも強盗がいるかもしれない。心が恐怖で怯えきっている。今までの人生で、こんな感覚をおぼえたことはなかった…。</p>
<br class="clear" />
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         <link>http://www.kakura.jp/hw/blog/2008/200805242245.html</link>
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          <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">ニカラグア</category>
        
        
         <pubDate>Sat, 24 May 2008 22:45:04 +0900</pubDate>
      </item>
      
      <item>
         <title>コスタリカ国立劇場の警備員</title>
         <description><![CDATA[<span class="theday">The Day 2021 - 2008-05-19 Mon 19:26 San Jose, Costa Rica</span><span class="bgm">… Billy Joel - Shameless</span>
<div class="blog-photo-w">
<div class="photo1-t">
<img src="http://www.kakura.jp/hw/photos/2008-05/12906t_2008-05-19_costa_rica_san_jose.jpg" alt="国立劇場のロビー" />
</div>
<div class="photo1-t">
<img src="http://www.kakura.jp/hw/photos/2008-05/12909t_2008-05-19_costa_rica_san_jose.jpg" alt="国立劇場の客席" />
</div>
</div>

<p>コスタリカの首都、サンホセ。大きなビルはほとんど無く、本当に首都なのか疑わしいほどの小さな町。</p>

<p>中心地にある国立劇場が唯一の見どころ。クラシック音楽でも聴いてみようかと行ってみた。</p>

<p>ロビーでうろうろしていると、通路の入口に立っていた警備員が話しかけてきた。男はスーツに身を包み、流暢な英語を話した。</p>

<p>今夜、公演の予定はあるかどうか訊いてみると、あいにく何もないという。ならば劇場内だけでも見てみようと、見学用のチケットを購入すべく、窓口へ足を向けた。</p>

<p>すると、スーツの男が僕たちを呼び止めた。今、チケットを発行するシステムが停止しているので、このまま入ってくださいと言う。僕らは指示に従い、入場した。</p>

<p>この国立劇場は、パリのオペラ座を手掛けた職人たちを呼び寄せて建てられ、120年の歴史があるという。入場料が5ドル <span class="yen">(520円)</span> もする割には、ずいぶん狭くてがっかりするが、そこにはやはり長い時間の経過という重厚感がある。</p>

<p>コスタリカ人が戦争をしないのは、この劇場のガラスを割りたくないから、とまで言われている。国民はこの劇場を誇りに思っているらしい。</p>

<p>劇場内をひと回りして、二階席の椅子に腰掛けて写真を撮っていると、先ほどのスーツの男がやってきた。チケットを持ってきたから、料金を払ってくれという。</p>

<p>なるほど、そういうことか。この男は僕らをチケット無しで入場させ、直接料金を徴収することによって、その金を着服するのだ。</p>

<p>男が持ってきたチケットらしきものは、すでに半券になった状態で、日付もなければ、金額も印刷されていない。はたしてそれが、この劇場の入場券なのかさえわからない。</p>

<p>男は自分の持ち場を離れているので、誰かが勝手に入場しないか気になるらしい。早く金をくれと僕を急かしながら、背伸びして入口の様子をうかがっている。</p>

<p>入場料が5ドルなのは間違いない、僕は黙って料金を払った。男は金を受け取ると、さっさと自分の持ち場へ戻った。なんだかバカらしい、こっちはきちんと金を払っているのに、嫌な気分が残る。</p>

<p>退出の際、出入口で再び男と顔を合わせた。何も言わない僕に向かって、男は意気揚々とこう言った。</p>

<p class="say">「システムが止まっているんです、あなたのためにチケットを持って行ってあげなきゃならなかったんです」</p>

<p>それが本当なら、わざわざ念を押さなくてもいいだろう。</p>

<p class="say">「…だから、窓口へ行ったりしないでくださいね」</p>

<p>と、続きは言わない。</p>

<p>黙っていれば、僕も気付かないフリをして、バカな観光客のまま帰ったのに。僕は思わず言ってしまった。</p>

<p class="say">「停止なんかしてないだろ、他の客はチケットを買ってるじゃないか。窓口へ行って確かめようか?」</p>

<p>白人の中年女性が、ちょうど財布からお金を出しているところだった。男は血相を変えて反論しつつ、窓口を遮る位置に立つ。もう、この男と話をするのもバカらしい。僕は反転して劇場を出た。</p>

<p>本当です、本当です、男は言葉だけは丁寧に、僕の背中に向って続けた。変な正義感を出して警備員の不正を暴いたところで何になる。この国がよくなったりはしない、どうせ逆恨みされるだけだ。僕は自分に言い聞かせた。</p>

<p>国立劇場が国民の誇りだって? 少なくとも、警備員がそう思っていないのは確かなようだ。</p>
<br class="clear" />
]]></description>
         <link>http://www.kakura.jp/hw/blog/2008/200805191926.html</link>
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          <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">コスタリカ</category>
        
        
         <pubDate>Mon, 19 May 2008 19:26:20 +0900</pubDate>
      </item>
      
      <item>
         <title>南米&#65374;中米 カリブ海ヨットの旅顛末記 番外編</title>
         <description><![CDATA[<span class="theday">The Day 2015 - 2008-05-13 Tue 23:21 Panama City, Panama</span><span class="bgm">… The Sea And Cake - So Long To The Captain</span>
<div class="blog-photo-w">
<div class="photo1-t">
<img src="http://www.kakura.jp/hw/photos/2008-05/12786t_2008-05-11_panama_san_blas.jpg" alt="船室" />
</div>
<div class="photo1-t">
<img src="http://www.kakura.jp/hw/photos/2008-05/12787t_2008-05-11_panama_san_blas.jpg" alt="キッチン" />
</div>
<div class="photo1-t">
<img src="http://www.kakura.jp/hw/photos/2008-05/12809t_2008-05-12_panama_san_blas.jpg" alt="船長との別れ" />
</div>
</div>

<p>船長のはなし。</p>

<p>船長はスウェーデン人のおじいちゃん。たぶん70才くらいだと思う。コロンビアのカルタヘナに若い奥さんらしき人がいる。もしかしたら、あっちの港にも、こっちの港にもいるのかも。</p>

<p class="more-space">小さなヨットが家のような生活。人とは少し違った人生を生きてきた人の話は、やはりおもしろい。ある意味すごい旅人でもある船長について、あれこれ。</p>

<p>■ その1: トーストの焼き方講座。</p>

<p>船酔いで船室のベッドに張り付いて苦しんでいると、船長が、昼飯だ、と僕らを呼んだ。</p>

<p>みんなキッチンに集まった。キャビンの一部がキッチンになっているのだが、言うまでもなく、船そのものが狭いので、当然そこも狭い。</p>

<p>僕は船酔いでメシどころではなかったが、船長に呼び出された以上、なんだか行かねばならない気がして、二日酔いのようなしかめっ面で集合。</p>

<p>船はこれ以上ないほど揺れている。しかしスウェーデン製の船はよく出来ていて、船の揺れに合わせてコンロもぶらぶら揺れる。鍋やフライパンも固定されて一緒に揺れるので、多少揺れても問題ない。</p>

<p>船長は通路の壁に両足を踏ん張り、ぶーらぶら揺れるコンロを指差しながら、大声で説明を始めた。船は揺れる。</p>

<p class="say">「トーストの焼き方を教える!! 見ていろ!!」</p>

<p>エンジンの音、波が船にぶつかる音、帆が風を受ける音、そして船体が軋む音が混ざりあっていてうるさい。大声を出さないと聞こえない。船は揺れる。</p>

<p class="say">「まず油をひく!!」</p>

<p>船長はコンロの上のフライパンに油をたらした。両足を力強く踏ん張っているのがわかる。船は揺れる。</p>

<p class="say">「次にバターだ!!」</p>

<p>バターが乗せられ、ジュゥと音がする。船は揺れる。全員どこかにしがみついている。コンロはぶーらぶら。船は揺れる。</p>

<p class="say">「最後にパンだ!!」</p>

<p>溶けたバターに食パンが乗せられた。船室に香ばしい匂いが充満する。船は揺れる。全員が両足を踏ん張っている。もう限界、気持ち悪い…。</p>

<p class="say">「よし出来た!! そしてこのパンはオレのだ!!」</p>

<p>船長はすこぶる元気。僕はそれどころではなく、ベッドに戻って倒れ込んだ。</p>

<p class="more-space">せ、船長、何もこんな状況でパン焼かなくても…。</p>

<p>■ その2: 船酔い。</p>

<p>気分はどうだ、出発から三日目の朝、船長が訊いてきた。僕は、少しマシになったよ、と答える。</p>

<p class="say">「オレが最後に船酔いになった時は、四日間苦しんだよ」</p>

<p>船長がそう言った。</p>

<p>ぐわんぐわん揺れている船の中で、老眼鏡をかけて本を読んでいる船長。そんな船長でも船酔いになることがあるのか、少し驚いたが、当然の疑問が浮かぶ。</p>

<p>それはいつの話ですか、僕は訊いた。</p>

<p class="say">「1971年だ!!」</p>

<p class="more-space">せ、船長、それは僕が生まれた年…。</p>

<p>■ その3: イエメンの処刑。</p>

<p>夜中、豆電球ひとつの明りの下で、船長がむかし話を始めた。</p>

<p>船長は若かりし頃、ジャーナリストだったらしい。取材でイエメンの小さな村を訪ずれた時の話をしてくれた。</p>

<p>当時イエメンは、西側文明諸国とは完全に隔離された文化を維持しており、外国からの電波を嫌って、ラジオさえも禁止だったという。</p>

<p>その村には、すっかり日の落ちた夜中に到着した。村は高い城壁で囲まれていて、門は閉ざされていた。</p>

<p>城壁の上で笛や太鼓を鳴らして、楽しげに踊っている人々がいた。今日は祭でもやってるのか、船長たちの一行は質問した。</p>

<p class="say">「あんたら、もうちょっと早く来れば楽しいものが見れたのに!!」</p>

<p>そう返事が返ってきた。なんだ楽しいことって、そう訊き返す。</p>

<p class="say">「処刑だよ!!」</p>

<p>罪人を処刑したらしい。どうやって処刑したんだ、首でも切ったのか、という質問の答えは、こうだった。</p>

<p class="say">「俺たちは現代人なんだよ、そんな野蛮なことはしない、車で轢き殺したのさ」</p>

<p class="more-space">現代人が乗っていたのは、ホンダか、トヨタか、ミツビシか…。</p>

<p>■ その4: イスラエル人の反乱。</p>

<p>コロンビアとパナマを行き来するヨット、船長の同業者のはなし。</p>

<p>あるイスラエル人のグループが、運悪くラテン系の現地人船長の船に乗ってしまった。</p>

<p>出発してカリブ海を航行中、船長が酒を飲んで泥酔、一向に先へ進まない。そしてなんと、船長は食料も用意していなかったことが発覚。食いものがない。</p>

<p>これにはイスラエル人も怒った。そして反乱を決意。</p>

<p>船長は紐で縛られ、船室に転がされた。そしてここからがイスラエル人のすごいところ。</p>

<p>さすが男も女も兵役あがり。何の目印もない海の上で、計器を頼りに航海を続行。船を隅から隅まで捜索し、船長が隠していた現金を押収して食料を買い込んだという。そして無事に、と言えるかどうか、目的地のパナマへ到着してしまった。</p>

<p>しかし到着したはいいが、イスラエル人たちは船乗っ取りの罪で逮捕されてしまう。その後、裁判によって、やっぱり船長が悪いということになり釈放されたらしいが…。</p>

<p class="more-space">旅の仲間にイスラエル人が一人いるといいかもしれない…。</p>

<p>■ その5: クナ族の金儲け。</p>

<p>サンブラス諸島は、太古の昔からの先住民族、クナ族の自治区となっている。彼らは今でも自給自足の生活を送っている。</p>

<p>無人島の島影に停泊していると、どこからともなく日焼けしたクナ人がやってきて、魚やココナツ、バナナなどを売りにくる。中には魚とガソリンを交換してくれ、というのまであった。</p>

<p>クナ族の人々にとって、外国人が乗ったヨットは貴重な現金収入のチャンスだ。そして観光客が一番興味を示す商品は、モーラと呼ばれる刺繍。原色に彩られた魚や亀などが、緻密に、とは言い難いが、綺麗に刺繍してある。</p>

<p>ある時、船長が乗せた客のひとりが、このモーラを200枚買いたいと相談してきたらしい。会社のパーティで従業員に配るという。</p>

<p>提示金額は一枚30ドル <span class="yen">(3100円)</span>、総額62万円にもなる。ほとんど現金収入のないクナ族にとっては、またとないチャンス。未来永劫、子孫にまで語りつがれるべき話だ。</p>

<p>さっそく船長はクナ族の知人に連絡、モーラ200枚を港まで持ってくるように指示した。</p>

<p>ところが、喜び勇んでやって来るかと思いきや、港まで30分もかかるし、ガソリン代も高い、などとブツブツ文句を言って来ようとしない。船長はなんとか彼らを説得したが、ひとつ条件を出してきた。</p>

<p>一律30ドルというのは納得がいかない、それぞれ値段が違うのだから、その値段で買ってもらいたい、と言うのだ。まぁそれも当然かもしれない。商談はまとまった。</p>

<p>だがしかし、クナ族が要求した金額は、買い手が提示した金額より少なかった。計算すると一枚あたり27ドルになり、彼らは一枚につき3ドル損をしてしまった…。</p>

<p>やっぱり綺麗な所に住んでいると、心も綺麗になるんですね…。</p>
<br class="clear" />
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         <link>http://www.kakura.jp/hw/blog/2008/200805132321.html</link>
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          <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">パナマ</category>
        
        
         <pubDate>Tue, 13 May 2008 23:21:49 +0900</pubDate>
      </item>
      
      <item>
         <title>南米&#65374;中米 カリブ海ヨットの旅顛末記 2</title>
         <description><![CDATA[<span class="theday">The Day 2015 - 2008-05-13 Tue 22:44 Panama City, Panama</span><span class="bgm">… Enya - Caribbean Blue</span>
<div class="blog-photo-w">
<div class="photo1-t">
<img src="http://www.kakura.jp/hw/photos/2008-05/12698t_2008-05-09_panama_san_blas.jpg" alt="ヤシの木の島" />
</div>
<div class="photo1-t">
<img src="http://www.kakura.jp/hw/photos/2008-05/12722t_2008-05-10_panama_san_blas.jpg" alt="白い砂浜と透明な海" />
</div>
<div class="photo1-t">
<img src="http://www.kakura.jp/hw/photos/2008-05/12795t_2008-05-11_panama_san_blas.jpg" alt="真っ赤な巨大ヒトデ" />
</div>
<div class="photo1-t">
<img src="http://www.kakura.jp/hw/photos/2008-05/12768t_2008-05-10_panama_san_blas.jpg" alt="サンブラスの夕日" />
</div>
</div>

<p>僕らを乗せたヨットは、出発から二日目の夕方、無人島の影に錨を下した。</p>

<p>海はまるで早朝の湖のように凪いでいる。船が揺れなくなると、気分も少し良くなった。狭い船室から這い出て、あちこち掴まりながら、よろよろと甲板に出た。</p>

<p>僕が最後に見たカルタヘナの海とは打って変わり、そこには完全に透き通った海があった。海底の白い砂に、真っ赤なヒトデが転がっている。</p>

<p>太陽が海面に映し出す光の乱反射模様と、わずかに船体を揺らす潮の流れがなければ、船の下に水があることを忘れてしまいそうだ。</p>

<p>ヨットの水深計は 3m の表示。しかし海が透明すぎて、足が届くのではないかと、目の錯覚を起こす。</p>

<p>巨大なエイが二匹、掃除係の子分たちを従えてやってきた。槍のように鋭いシッポをピンと伸ばし、絨毯のような体を優雅にはためかせて、鳥のように水中を飛び去っていった。</p>

<p class="more-space">人間がいなければ、自然はあまりにも美しい。</p>

<p>僕はただ、このヨットの旅を移動手段とだけ考えていた。しかし船に乗ってみてわかったことだが、どうやら旅行者は、パナマ沖にある、ここサンブラス諸島が目当てらしい。</p>

<p>白い砂とヤシの木だけでできた大小様々な島々が、360ほど点在している。そのほとんどが無人島だが、大きな島には村もあり、病院や子供たちを教える学校もある。</p>

<p>小型旅客機がやっと発着できる程度の、島の端から端まで滑走路になった滑走路島。少しもオーバーランできない。</p>

<p>掘っ建て小屋のホテルがひとつと、その経営者らしき家族が住んでいるだけの島。ちゃんと食事も作ってくれる。娯楽は泳ぐか寝るか、寝るか泳ぐかしかない。</p>

<p>巨大な朽ちた沈没船のある島は、熱帯魚の恰好な隠れ家になっていて、年中無休の天然水族館だった。</p>

<p>極めつけは、島と呼べるかどうか疑問だが、ヤシの木が一本だけ生えた島。子供のころ漫画で見た、小さな島にヤシの木が一本だけの、あの島。</p>

<p>たいていは髪とヒゲが伸び放題の漂流者が、悲しそうにヒザを抱えて座って釣りをしている。実際にそんな島などあるわけがないと信じていたが、あった。</p>

<p>サンブラス諸島に暮らしているのは、海の原住民、クナ族。ここはクナ族の自治区になっていて、独自の文化と言語を守っている。</p>

<p>観光客はサンブラスに楽園を求めてやって来る。しかし原住民の生活は、はた目にも厳しい。真水は大きな島から運んでくるか、雨水を溜めておくしかない。携帯電話は通じるが、充電のための電気はない。</p>

<p>砂の島で育つのはヤシの木くらい。家畜はせいぜい鶏。犬もいたが、枯れ枝のように痩せていた。ただし、魚はいくらでも獲れる。その魚とヤシの実、手作りの民芸品が彼らの現金収入源らしい。</p>

<p class="more-space">魚を食べてヤシの実ジュースを飲んでいれば、なんとか生きていられそうだが、文明国から来た人間はやる事がなさすぎて、やがて悲しそうにヒザを抱えて座り込むことになりそうだ。</p>

<p>僕らはサンブラスの島々を転々としながら、ヨットで4泊過ごした。無人島の白い砂浜、透明な海には熱帯魚。無限の太陽のエネルギーが体の中まで射し込む。海の色は水深によって、エメラルドグリーンからディープブルーに変化した。</p>

<p>島影の浅瀬の続く海は、波も穏かでゆりかごのような心地よさ。あたり一面、銀色に輝く小魚の大群に包まれ、原色の光沢をたたえた魚を追い掛け、日に焼けて疲れ果てるまで、僕とよっちは手を取りあって楽園の海を漂った。</p>
<br class="clear" />
]]></description>
         <link>http://www.kakura.jp/hw/blog/2008/200805132244.html</link>
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          <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">パナマ</category>
        
        
         <pubDate>Tue, 13 May 2008 22:44:02 +0900</pubDate>
      </item>
      
      <item>
         <title>南米&#65374;中米 カリブ海ヨットの旅顛末記 1</title>
         <description><![CDATA[<span class="theday">The Day 2015 - 2008-05-13 Tue 21:12 Panama City, Panama</span><span class="bgm">… Rod Stewart - Sailing</span>
<div class="blog-photo-w">
<div class="photo1-tv">
<a href="http://www.kakura.jp/hw/photos/301/350_2008-05_photos_colombia_cartagena.html"><img src="http://www.kakura.jp/hw/photos/2008-05/12657t_2008-05-06_colombia_cartagena.jpg" alt="カリブ海を渡る小さなヨット" /></a>
</div>
<div class="photo1-t">
<a href="http://www.kakura.jp/hw/photos/301/350_2008-05_photos_colombia_cartagena.html"><img src="http://www.kakura.jp/hw/photos/2008-05/12663t_2008-05-07_colombia_cartagena.jpg" alt="カルタヘナの町" /></a>
</div>
</div>

<p>地図を見ると、南米と中米は陸続きになっている。ずいぶんと頼りないけれど、へその緒のような細い陸地で繋がっている。</p>

<p>ところが、ここに道はない。</p>

<p>ゲリラの巣窟になっている。国境越えに挑んだ人は帰ってこない。などの嘘臭い噂を聞くが、道がない理由は誰も教えてくれない。</p>

<p>湿地帯の自然保護のため開発されていない、というのがもっともらしい答えのようだが、僕はただ単に、コロンビアから不法移民がやってくるのをパナマが嫌っているだけではなかろうか、と思う。</p>

<p>飛行機なしの旅行にこだわるからには、陸地がだめなら船で行くしかない。コロンビアの北の端にあるカルタヘナという町で、パナマへ渡る船を探した。</p>

<p>この航路には定期船もない。しかし、数人の旅行者を運んで金を稼いでいる船が何隻かある。僕らはヨットクラブへ行き、近々出発するというヨットを見つけた。</p>

<p>船長の案内で実際のヨットを見せてもらったときには、少しひるんだ。全長わずか 11m、ヨットクラブに並んでいる船の中でも、ひときわ小さい。</p>

<p>そもそも、大型ヨットを所有しているような金持ちは、バックパッカーを詰め込んで海を渡り、小銭を稼ぐ必要などない。すると必然的に、僕らを乗せてくれる船は小さなものに限られる。</p>

<p>金だけ取って一向に出発しないだとか、目的地に到着する前に降ろされた、船がボロすぎて壊れた、船長が酔っ払いだった。ヨットの旅はどれもこれも酷い話ばかりを聞かされていた。</p>

<p>僕らが見つけた船は古くて小さいけれど、きちんと整備されている様子だし、船長がスウェーデン人であることが決め手となり、乗船を決めた。現地のラテン系の船長は信用ならない、他の旅行者から聞いた唯一のアドバイスはそれだった。</p>

<p>5泊6日の旅、食事付きで320ドル (32,500円)。飛行機なら恐らく100ドル未満、数時間で行ける。わざわざ高い金を払って船で行くなど、ただの酔狂でしかない。</p>

<p>乗客は僕とよっち、スペイン人夫婦、イギリス人女性の5名。本当はもう一人乗船予定だったが、パスポートが不備だか偽造だかで乗船できず。そして肝心の船長を加えて、全部で6名。小舟で運命を共にする。</p>

<p>ヨットクラブを出発して数十分、外海へ出たとたんに波が荒くなった。体を横たえる隙間さえない甲板から、カルタヘナの町並みを振り返る。移動が終る次の日の夕方まで、僕が見た景色はそれが最初で最後となった。</p>

<p>酔い止め薬は飲んでいたが、そんなものは何の助けにもならない。狭い湿った船室のベッドで、僕はただひたすら頭痛と吐き気をこらえていた。</p>

<p>小さなヨットは波をひとつ越えるたびに、大きく昇って急降下した。上下に加えて左右の揺れも止むことはない。</p>

<p>大きな横波を受けると、僕の体はベッドの上で真横に移動した。足を大きく開いて、壁にでも突っ張っておかないと、体がゴロゴロ転がっていく。真夜中に一度、そのまま通路に落とされて目覚めたほどだ。</p>

<p>横になっていると、自分が逆立ちでもしているような感覚になる。その空間だけ重力がねじ曲っていて、四方八方に引っ張られているようだ。</p>

<p>三半規管は完全に狂い、喉の奥には胃袋から苦い粘液が上ってくる。脳みそは頭蓋骨の中で攪拌され続け、まるで液状になってしまったようだ。体と意識と空間と、何もかもがぐにゃぐにゃと混ざりあい、船底に叩きつけられる海水と同じように、不規則にうねっていた。</p>

<p>覚醒しているのか寝ているのかさえ曖昧な、朦朧とした意識の隅にのぼった疑問がひとつ。</p>

<p>320ドルを払って、僕はいったい何をしているのだろう。</p>
<br class="clear" />
]]></description>
         <link>http://www.kakura.jp/hw/blog/2008/200805132112.html</link>
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          <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">パナマ</category>
        
        
         <pubDate>Tue, 13 May 2008 21:12:05 +0900</pubDate>
      </item>
      
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