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| ニカラグアで強盗に襲われた 3/3 | グアテマラのチキンバスでスリを捕まえた 2/3 |
ニカラグアで強盗に襲われた日から、わずか二日後。今度はグアテマラでスリにあった。
首都のグアテマラシティに到着後、すぐにアンティグアへ向かうことにした。一時間ほどの距離。治安の悪い場所はもう、うんざり。大きな荷物を背負ったまま、路線バスに乗り込んだ。
現地人が乗るバスは、チキンバスと呼ばれている。たぶん、乗客がカゴに入れられた鶏のように、身動きさえとれないほど詰め込まれるからだろう。
車内には横長のベンチシートが二列、ずらりと並んでいる。真ん中には足一本しか入らないほどのせまい通路。乗客はカニのように横向きになって、この通路を進む。利便性や快適さなどは、まったく無視した設計になっている。チキンバスの乗客は、チキンも同然ということらしい。
バスの中ほどまで進み、大きな荷物を窓側に置いた。自分自身は通路側に陣取った。よっちは僕の真後ろの席に座った。
バスに揺られてしばらく進むと、通路の反対側の席に無精髭の男が乗り込んできた。他にも席はたくさん空いているにもかかわらず、僕の隣を選んだ。しかも窓側ではなく、通路側に寄って僕の真横へ来た。
乗車賃を払うためにカバンから財布を取り出すと、男はしっかりと財布の中身まで見ていた。真横にいるのだから、当然視線を感じる。よっちも後ろから声をかけてきた、男が見ているから気をつけて、と。
そしてアンティグアに到着し、男は犯行に及んだ。
乗客が全員ぞろぞろとバスを降りていく。僕は荷物が大きいので、最後に降りようと席に座ったままだった。すると隣の男が、わざわざ、アンティグアへ着いたぞと声をかけてきた。
親切な行為に思えるが、僕は聞こえないふりをした。男はもう一度、アンティグアだと僕に伝えてきた。このしつこさが逆に怪しい。全員が降りようとしているのだから、教えてもらうまでもなく、アンティグアに間違いない。僕は警戒心いっぱいで、目礼だけを返した。
全員が前方のドアへ向かった後、僕とよっちはバスの後ろのドアへ向かった。大きな荷物を通すのに、後ろのドアの方が簡単そうに思えたからだ。
70リットルの荷物を背負い、せまい通路を後方に向かって進んだ。貴重品は体の前のウエストバッグの中、両手の間にはさんだ位置に固定してある。他の乗客は全員、前のドアへ向かったが、無精髭の男だけは僕の後ろにピタリとついてきた。
後ろのドアはバスの背面で観音開きになっていた。地面に下りるための小さなハシゴが伸びている。まずは、よっちが先に下りた。僕が下りようとすると、背中の荷物がひっかかった。ドアは片方しか開いておらず、座席の背もたれが邪魔をしていた。
僕は後ろ向きなら通れるかもしれないと考え、荷物を背負ったまま、せまい車内でくるりと反転した。すぐ後ろにいた無精髭の男と向き合うかたちになった。
背中の荷物を先に通そうとするが、やはりだめだった。僕は後ろ向きのまま、荷物ごとドアにはさまった。しかたなく荷物はあきらめて、なんとか体だけ抜け出すことにした。
ようやく抜け出して、地面に足をつけ、顔を上げたその瞬間だった。男の左手に僕の牛革の財布が握られていた。そして腕に掛けられた上着の下に、さっと消えていった。
瞬間的にバッグを確認した。チャックが開いていた、財布もない。ドアにはさまってもがいていたので、抜き取られた感触はまるでなかった。僕とよっち、二人ほぼ同時に声を上げた。男の手から財布を奪い返し、僕は男をバスから引きずり下した。
僕らの大声を聞いて、あっという間に人だかりができた。どうした、何があった、次々質問してくる野次馬に、僕はわざと大声で答えた。この男が財布を盗んだ!! 警察を呼んでくれ!!
男は知らぬ存ぜぬという態度をとりはじめた。僕は警察を呼べと大声で叫びながら、男を取り抑えようとした。男は敵意をむき出しにして、僕の手を払いのけた。またか、つい先日強盗に襲われたばかりなのに、なぜこうも悪人が多いのか。
僕は男のシャツのボタンを引きちぎり、顔面を殴りつけた。ニカラグアの強盗への怒りが再燃し、無意識のうちに、このスリの男の罪に上乗せされた。
男は僕の手を払いのけながら、その場を離れるべく歩き出した。走って逃げることはなかった。走ると目立つと思ったのか、もしくは男が太っていたからかもしれない。僕はなおも警察を呼んでくれと叫びながら、逃がさないように男を追った。周囲を野次馬が取り囲んで、輪になって一緒に移動した。よっちがひとり、荷物を見張るために残された。
20メートルほど歩いたところで、警官が次々とやってきた。僕はホッとした、まさか自分で男を捩じ伏せるわけにもいかない。警官が男の体を調べると、身分証の後、カミソリの刃が発見された。3センチ四方ほどの大きさで、片側は金属のカバーがついている。掌で隠してカバンを切るのに都合がいい。
よっちのことが気になって振り返ると、自分の荷物を背負い、僕のバックパックを半ば引きずるようにしてやってくる姿が見えた。誰かが運んでやると申し出たらしいが、信用できないのでひとりで運んできたという。そりゃそうだ、こんなに立て続けに悪人に出会えば、もう誰も信用できない。
男の手に手錠がはめられた。事情聴取のため、僕とよっちも同行することになった。荷物を持ったまま、宿よりも先に、またもやパトカーに乗って警察署へ…。
もう、ただの、けだものの世界ですね。正義のルールなんか、あったもんじゃない!情けない国ですね。貧しさゆえ、だけではないでしょう。国民性も十分ありますよね。日本人なら、努力、我慢、向上心、など、国民カラーがまだまだ存在するので、こう、荒廃した国民性にはならないでしょうが。・・・いわば、国民の品格・・・
日本人は、目立たないけど、世界でも指おりの品格のあるくにではなかろうか、と、サミットをニュースで見ながらそう思いました。これぐらい自らの国を自らほめても、よそと比べてもまだまだ控えめすぎぐらいですよね。
教育と思想が健全な国、には、富が寄り、教育・自由を奪われた国は、荒廃の道へとなりますよね。
ここで体験されたことが、日本人の観光だけにとどまらず、世界観、広い分野で、役に立つことを願ってます。くれぐれも、トラブルに巻き込まれないように、気をつけて、・・・なにか、空手できる?といいけど。
大輔さん:
実はバスの中では財布を出さないほうがいいのですよ。ホテルを出るときにその日に使う分の現金をポケットに入れておくといいです。外では誰が見ているかわからないので、貴重品はかばんから出さないことを心がけて下さい。ちょっとご飯を食べに、買い物にでかけるくらいならかばんではなく黒いビニール袋にものを入れてしっかり腕に抱えて出かけるほうがずっと目立ちません。よっちさんがもしピアスをつけられているのなら外でははずされたほうがいいでしょう。泥棒が耳から引きちぎって持っていってしまいます。
アンティグアはのんびりしたいい町だと聞いていますので首都よりは安心して歩けるのではないでしょうか。楽しい時間をお過ごし下さい。
(ご指摘のとおり以前ニカラグアに住んでいました)
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