
| 世界一周旅行ときどき日記 |
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| ニカラグアで強盗に襲われた 2/3 | グアテマラのチキンバスでスリを捕まえた 1/3 |
警官の話では、犯人の一人を拘束したから来てくれという。僕らが大急ぎでホテルへ逃げ込んだのを聞きつけ、ここまでやって来たようだ。
よっちを部屋に残して鍵をかけさせ、僕だけ警官の後について表へ出た。ピックアップトラックのパトカーが一台止まっており、もう一人警官がいた。後部座席には犯人らしき男が座っている。
警官がその男を車から引きずり出した。強盗は何人いたのか訊かれ、僕は二人だと答えた。すると、野次馬が取り囲むその場で、公然と拷問が始まった。平手打ちのあと、犯人を路上に捩じ伏せ、腕の関節を絞り上げた。もう一人の所在を吐かせようとしているらしい。犯人の絶叫が周囲に響いた。
僕はさっき抱いた憎悪が込み上げてきた。この男のせいで、よっちは血を流し、涙を流した。警官は犯人の上に馬乗りになり、片腕を捩じ上げている。もう一人の警官はそれを眺めていた。僕は絶叫をあげる犯人に歩み寄り、その背中を力まかせに蹴り上げた。
警官に注意を受けるかと思いきや、何も言わない。それはそうだ、警官自ら暴行を加えている。僕は右足に渾身の力を込めて、今度は顔面を蹴り上げた。
こんな形でしか恨みを晴らせないのが情けない。殺したいほど憎い男は、どうせ数カ月ほど刑務所に入るだけで、再び自由になるのだ。治安の悪い国ほど、刑務所が足りずに刑期が短かくなる。もしくは保釈金を積むだけかもしれない。自由になれば、また無抵抗な旅行者を襲うのだろう。
犯人を逮捕するためには僕らの供述が必要だと言うので、よっちも連れて警察署まで行くことになった。犯人はパトカーの荷台に乗せられた。警官が荷台のふちに腰をおろし、うつぶせになった犯人の背中に足を乗せている。まるで狩りに行って、鹿でも仕留めたような姿だ。
パトカーに制服姿の警官が二名、衆人環視の中での拷問、拳銃や無線などの備品もすべて本物。なのに、僕の心には、まだ恐怖心があった。もしや、この警官さえも犯人の仲間なのではないか、これは大掛りな芝居なのでは。
通常ならばそんなことは考えもしないだろう。しかし人間の心というのは、強烈な恐怖を与えられると、すべてに怯えてしまうものらしい。大きな鉄の門をくぐって、そこが警察署だと納得できるまで、僕はどこか安心できなかった。
一国の首都の警察署だというのに、英語を話せる人間はひとりもいなかった。僕がわずかに知っているスペイン語の単語と、身振り手振りだけで意思の疎通が行なわれた。
犯人の男は、僕らが事情聴取を受ける部屋の真ん中に転がされていた。足元に転がしたまま話を始めるというので、さすがに向こうへ追いやってくれと頼んだ。それでもせいぜい部屋の隅へ行っただけで、話はすべて聞こえてしまう。
しかも犯人は、自ら起き上がって歩いて部屋の隅まで移動した。手錠はおろか、拘束器具はなにもない。部屋のドアにも鍵などかかっておらず、隙をみて逃げるのは簡単だ。
なぜ手錠をかけないのか。国が貧しすぎて手錠もないのだろうか。ニカラグアは中米で最も貧しい国だという。そういえば乗ってきたパトカーは廃車同然で、車検も通らない代物だった。
いや、これは別の理由だろう。犯人が逃げないのは、逃げれば射殺されるからではなかろうか。警察にしてみても、刑務所で犯人を養うよりも、殺してしまう方が手っ取り早いのかもしれない。少なくともこの状態は、両者の間でなんらかの暗黙の了解があるとしか解釈できない。
隣のコスタリカで、宿の主人がしてくれた話。ニカラグアから不法移民がやってくるが、彼らにはガードマンのような危険な仕事しかない。仕事を見つけられなかった者は強盗となり、ガードマンと撃ち合う。つまりニカラグア人同士で殺し合う。自分の国でも、どうやら同じ状況らしい。
事情聴取はほとんど話が通じないまま終了した。最後に犯人の顔を確認させられた。犯人は床に仰向けに寝転がったまま、顔をこちらへ向けた。両手の人差し指を左右の頬に当て、僕に対しておどけて見せた。
気が狂っているのか、自分が襲った相手に対する態度とは思えない。警官がここで射殺することを許してくれるのなら、僕は躊躇なく引き金を引いただろう。
僕らが部屋を出る際、犯人が1ドルくれと言いだした。呆れて物も言えない。とても同じ人間だとは思えない。こんな人間を大量に生み出しているこの国は、完全に崩壊しきっているのではなかろうか。このままで未来などあるのか。
もう帰っていい、と警官が言った。外は真っ暗、たとえタクシーでも恐ろしくて帰れるわけがない。僕はパトカーで送ってくれと要求した。金はあったが、タクシー代は持っていないと嘘をついた。
車が用意されるまで一時間も待たされた。その間に犯人は留置場へ移された。その留置場から大勢の人間の歌声が聞こえる。それは犯罪者たちの合唱だった。悪魔たちの呪いの声だった。
たまたま裕福な人間と、たまたま強盗に育った人間。貧乏だという理由は、奪ってもいい理由にはならない。しかし彼らには、それが正当な理由なのかもしれない。この世界を隔てているものは何なのか。僕に答は出せそうにない。
留置場の陽気な歌声は、いつまでも夜空にこだましていた。
読んでるだけで怖くなりました。そんなにも違うのかも思いました。命があっただけでもよかった、そう考えたほうがいいのでしょうか?自分の身にふりかかったら、そう思って過ごせるでしょうか。憎しみからは何も生まれないとかそんなきれいごとは平和な国に住んでるから言えることで、私は、いろんなことに対して何もいえないくらい知らない人間なんだと思います。
今はお二人とも無事でよかった、ココロからそう思います。choro
私が幼い時、西暦2千年を過ぎた世界は、発達したテクノロジーが人間に生活に余裕を与えて、平和に満ちた明るい未来だと思っていました。
しかし、世界にも日本にも格差は進み、歪みが拡大して悲しみや不安が増しているのが、この21世紀の現実なんですね。
加倉さんの日記のリアリティがそれを教えてくれました。
神様がいるなら彼ら犯人達が真っ当な人間に戻るチャンスを与えて欲しいです。
彼ら自身の為にと、これ以上悲しみをばらまかない様に。
生きててよかったです。。。本当によかった。。。
彼等だってなりたくてこうなった訳ではありません。
どうも!サンパウロで会った家族世界一周のカヤノです。
いや最高!
私はブエノスで強盗にやられましたが
ウエストバッグもっていかれました。
が、今回は犯人殴った蹴った!!サイコー!!
が、日本以外はこれが日常。
アフリカで達観しました。
動物の世界はこれが普通ですからね。
なにより、たぶん、一番の土産話です。
久しぶりにメールします。覚えていますか?南米は長いですね。今回はかなり大変な事件に巻き込まれましたね。大事にならなくてよかったです。これからまだまだ旅をするのでしょうが、こんな事件に巻き込まれないように祈っています。大概で日本にかえってきませんか?もっとも、日本ならこんな事件に巻き込まれないという保証はありませんけどね。
これが真実の世界の姿なんですね。私は腐りきった日本の警察内部の不条理に泣き寝入りして民間人に戻った経験の持ち主なので、現地の警官に感情移入していました。俺も日本でそういうふうにやりたかったと・・犯人をぶちのめして、拳銃をばんばん撃ちまくって(笑)。もちろん無理ですがね、平和ボケの日本では。今日初めて拝見しましたが、このサイトは凄すぎます。でも素朴な疑問ですが、このような旅を始めた理由は何なのでしょうか?修行?人生経験?だとしたら、素晴らしいですね!国内にいる数十倍?の経験ができるでしょうから。応援しています。
お久しぶりです。強盗の話全部読みました。
命があって本当に良かったです。
貧しくて不安定な、すさんだ国の強盗は頭脳でなくて体当たりでかかってくるんですね・・動物そのものというか・・
一生彼らはそうやって人を襲って生きていくしかない、永遠のループ。悲しいですね。
お久しぶり。やっぱり地球の中に怖いところいっぱいあるね。気をつけてね。今度サンフランシスコに行くので、いつでも遊びにきてね。
白昼の強盗 さぞや恐かったと思います。
大きな怪我なく よかったですね。
南米より中米のほうが治安が悪いかもしれません。
「目くそ、鼻くそ」の類でそんなに変わりなし。
行こうか、どうか迷ったら行かない、
行く目的に必要以外のものは持たない、特に後者は鉄則。 ジーンズ、Tシャツで何も持たない。 最悪の
場合の命の代償のお金、国によって額は違いますが
それに靴の底に帰りのタクシー代を入れておきました。
金持ちから貧しいものへ、日曜に教会で懺悔して
それで終わり。 征服宗教カトリックも泥臭い。
http://www.anzen.mofa.go.jp/info/info4.asp?id=254
日本人が、警戒指定地域で無謀なことをするたびに、大切な税金が拠出され不要な政治取り引きが秘密裏に行われることになります。それがどういう意味か考えて行動してください。人質から解放されたとしても母国の人間は繰り返される若者の無謀な行動を冷やかに見ているだけです。招かれざる客になるのも、いいカモになるのもあなたの自由と思ったら大間違いです。取り返しのつかない事態から回避するなら今です。
匿名さんへ。
普段はメールで個別に返信していますので、メールアドレスのない書き込みには返信しませんが、今回は少し僕の意見を書きます。
まず僕は人質になった憶えはありませんので、これはイランで拉致された中村聡志君のことを言っているのでしょう。
あの事件で秘密裏に政治取引があったかどうか、僕は知りません。あったのかもしれません。しかし秘密裏にせよ何にせよ、税金を使おうが使うまいが、ひとりの日本人を救い出すためのお金、努力、政治取引が、あなたの言う "不要" だとは思いません。
不要だということは、死ねばいいということです。助けの必要な国民を救うのは、国家の第一の使命であり、税金の最も正しい使いかたです。
ただ、人質事件に関しては、再発防止のため、安易に身代金を払わないのもわかります。
先日、開放された中村君をテレビで見ました。8カ月もの間、明日をも知れぬ生活を送っていたとは思えないほど、すがすがしい笑顔でした。強盗に襲われたくらいで憤慨している僕には、あの笑顔は出せません。どれだけ苦しい思いをしたのか想像を絶しますが、挨拶もしっかりしていたし、感心したほどです。
はつらつとしたひとりの若者が無事に帰国できたことを、僕は心からよかったと感じました。あなたが "冷やかに見ている" からと言って、誰もがそうというわけではありません。
それから、旅することを許されている場所へ行くことは、個人の自由です。そこが安全だろうが危険だろうが、僕は自分自身の責任において、時には命の危険を承知して、旅をしています。
個人旅行とは、すべて自分で責任を持って旅をすることです。だからこそ自由なのです。誰がどこをどう旅しようとも、合法であればそれは自由です。なぜなら責任はすべて本人に返ってくるからです。
自由とは責任を持つということです。日本では匿名で意見を言う権利がありますが、匿名には責任がともないません。他人に自分の意見を伝えたいのであれば、ましてや自由を語りたいのならば、まずは自分の意見に責任を持ってください。言いたい放題をあなたの自由だと思ったら大間違いです。
最後にもうひとつ。どこかの掲示板なら知りませんが、ここは僕の個人サイトです。コメントを掲載するのもしないのも、僕の自由です、僕にはコメントの内容を確認する責任があるからです。ご意見があればメールでどうぞ。
忙しさにかまけて、しばらくぶりに訪問してみるとなかなかすごい経験をされていたようですね。
生きていてよかったです。ホント、それだけ。
犯人は、たぶん翌日には釈放でしょうね。きりないから。
日本以外の、世界では、このような日常が標準なんだと思います。
大輔さん:
おそらく強盗は大輔さんたちがショッピングセンター(メトロセントロ?)から出てくるのを見てあとをつけてきたのではないでしょうか。ニカラグアでも特にマナグアはどんなところでも強盗が出没しますので、気をつけていても被害に遭ってしまいます。貴重品は靴下か下着の中に入れることをお薦めします。今回は強盗が銃やナイフを持っていなかったようなので命拾いをしましたが、もし持っていたら死んでいたかもしれません(安全を第一に考えるのなら強盗の欲しがるものは全て渡してしまったほうが懸命です)。小さな子どもでも小型の銃を持っていますので十分にお気をつけ下さい。
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