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| ニカラグアで強盗に襲われた 1/3 | ニカラグアで強盗に襲われた 3/3 |
文字通り、僕らは転がり込むようにホテルの部屋へ入った。鍵をかけ、荒い息と張りつめた神経を静めようと努めた。
よっちの右肘から血が滲んでいた。Tシャツにコンクリートを引きずられた跡がある。僕の方は転倒した時に尾てい骨を強打したらしく、時間の経過と共に痛みが増した。
少しだけ恐怖の退いた心に、代りに満たされたのは憎悪だった。犯人を殺してやりたい。本気でそう願った。
人間が人間を襲うなど、いかなる理由があろうとも許されるはずがない。映画を観ているだけでは、決して感じることのない、強烈な憎悪だった。
犯罪者の人権など、所詮は綺麗事なのだと知った。被害者にとっては、犯罪者の存在そのものが憎むべき対象なのだ。どこにもぶつけることのできない怒りは、僕の中でグルグルと、とぐろを巻いて膨れあがった。人間の醜さと愚かさ、その人間が作った無秩序な社会を呪った。
鞄を調べると、一眼レフカメラのレンズが一本なくなっていた。逃げる間、鞄が開いていることにも気付かなかった。
レンズはソフトケースに入っていた。そのケースはひもで鞄に繋いであったので、落としたということはない。犯人は鞄のファスナーを開け、レンズを取り出し、なおかつひもを外して奪ったのだ。ひとつ収穫があったので、鞄は諦めて逃げたのだろう。
鞄には貴重品のすべてが入っていた。一眼レフカメラ、レンズ三本、パスポート、財布と現金、カード、そして明日のバスチケット。もしこれを奪われていたら、考えるだけでもおぞましい。
外出の際、僕は行き先に応じて持っていく物を選ぶ。しかし今回、危険だと聞いていたにもかかわらず、すべてを持って行ってしまった。
後進国では、宿の部屋から荷物を盗まれる危険性もある。到着したばかりのホテルで、信用できないのもあった。わずか半日の滞在時間しかなく、写真を撮る機会は他にないのもあった。中米は南米よりも安全だ、という刷り込みもあった。だが、どんなに言い訳を並べようと、もう事は起こってしまった。
スリや置き引き、詐欺なら自分で避けられる。実際に今までの五年半、一度も被害にあったことはない。そして強盗も、僕は自分自身が注意することによって回避してきたのだと思っていた。しかし、それは間違いだったと思い知らされた。
僕は今まで "たまたま幸運に" 強盗にあわなかったのだ。今回のような状況は、思い起こせばいくらでもある。真っ昼間に強盗が襲ってくるなど、話には聞いても、自分の身に起こるとは想像しがたい。その類の話はいつも、どこかの誰かか、友達の友達の話で、それが真実だとわかっていても、現実としてとらえることができなかった。
気分を落ち着かせ、よっちの傷の手当をした。持ち帰り用に買ったフライドチキンが無いことに気付いた、襲われた場所で落としたのだろう。今夜の夕食はなくなった、もっとも食欲もなくなっているが。
突然、背後でドアが激しくノックされた。男の声がスペイン語で何やら叫んでいるが聴き取れない。まさか犯人がやってきたのではなかろうか。ありえない事だが、少しだけ薄れてきた恐怖心は、ノックの音で簡単に揺り戻された。
誰だ、とドア越しに訊ねると、警察だという。窓の隙間から制服姿の男が見えた、警察無線の音も聴こえる。どうやら本物らしい。僕は、そっとドアを開けた…。
こ、怖い!!
しかし、加倉さんやよっちさんの命にかかわらなかったことがなによりです。
ヨカッタ。
最後の一文でつま先から頭のてっぺんまでゾゾーッと鳥肌たちました。。。
こんにちは。
心中お察しいたします。。。。
数週間読んでなくて、船の船長の話で爆笑してたのに、
こわい話になってきた!
ドキドキしながら明日を待つ。
大輔さん、怖いよ!!!!
とにもかくにも無事でよかったけど。。。
怖いよ!!!!!!
こんなに恐ろしい体験をされているのに、冷静で微細に一部始終が表現できるなんて、凄すぎです加倉さん…。
お二人ともお体の方はその後いかがでしょうか。
6月8日に日本でも秋葉原で無差別殺人があって被害にあわれた方々はかわいそうだと思っていたけど、なんとなく他人事だったのが今わかりました。
加倉さんの文章を読んで、実際に被害にあった気持がリアルに伝わってきました。どのような犯罪も本当にゆるせないです!!
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