
| 世界一周旅行ときどき日記 |
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| イスラエルへ入国 | エジプト ダハブの海 |
ヨルダンの首都アンマンの空の下で、旅に出て4年目を迎えた。
この旅に出発したのは31才の誕生日だった。冬から始まり、春と夏と秋の4つの季節が3回ずつ訪れ、イスラムの断食月であるラマダンが終ると、僕は34才になった。そしてまだ旅の途中にいる。
最初は1年か2年もすれば、世界一周の旅も終わるだろうと思っていた。それに、そもそも資金がそんなに何年も続くとは考えていなかった。後進国を旅したことなどなかった僕は、まさか世の中に一泊300円の個室が存在するなど知りもしなかったのだ。
300円の宿に30日宿泊すると、9千円になる。僕は横浜で暮らしていた時、12万円の家賃を払っていた。そのひと月の家賃で、なんと1年も宿泊できて、なおかつ280円の牛丼が42杯も食べられるほどのお釣がくることに、驚かずにはいられなかった。
長い旅をしていると、よく旅の目的を聞きたがる人がいる。確固たる目的を答えられる人もいるだろうが、僕はこの質問が一番困る。そもそも旅を始めた動機が、骨休めで、長い休暇でしかなかったからだ。
僕は自分の旅に、世界の遺跡を訪ねる旅、だとか、多くの国を踏破する旅、はたまた、ひとつなぎの大秘宝を手に入れて海賊王になる旅、のような大層な目的を掲げてはいない。
あえて言うなら、旅をすることそのものが目的に違いない。だから僕は旅という日常を過ごすことによって、毎日その目的を果たしていることになる。今はただ、生き伸びて、旅を続けられたらいいと思っている。僕は人生の余暇に目的を掲げられるほど、聖人君子に成りえてはいないようだ。
そもそも僕は旅好きではないから、旅をせねば、と意気込んでいたら疲れてしまうだろう。きっと飽きてしまうに違いない。僕は自分のことを、数週間ごとに引越しを繰り返す、気の短い独りっきりの遊牧民だと思っている。旅人にしては歩みが遅すぎるし、普通の遊牧民にしては速すぎる。だから、気の短い遊牧民。
二十歳を少し過ぎたくらいの、若い旅行者に尋ねられたことがある。「明日は何をするんですか?」 僕は 「何もしないよ」 と答えた。明日は何もしないし、今日も何もしない、昨日も何もしなかった。彼が言う何かをするというのは、おそらく観光のことであろうが、僕は観光旅行に来ていながら、観光はほとんどしない。
地元の人間でさえ、一生に一度か二度しか訪れないような観光地よりも、人々の生活の中で同じように日常を過ごしてみる方が興味深い。観光地はいわば、客間のようなところでどうも落ち着かない。僕はどちらかというと、居間に上がりこんで寝転んでいたいのだ。
よく働き詰めの人が長期休暇に出ると、やる事がなくて困り果ててしまうという話を聞くが、幸いにも、僕は何かしらやりたい事を見つけられる。観光はしないけれど、パソコンに向かったり、音楽を聴きながら本を読んだり、メールの返事を書いているだけで、それなりに楽しい時間を過ごすことができる。
旅も4年目ともなると、何も特別なことは無くなってくる。今のこの生活は、会社へ通うという点を除けば、日本で過ごしていた週末と、さほど違いはないように思う。
あえて違いや変化を探すならば、テレビを観たり、ジムへ通ったり、犬の散歩をすることが無くなったかわりに、本を読み、たまに写真を撮るという新たな趣味が加わった。
日本語を話す代りに、英語を話す事が多くなった。インターネットは1日1時間程度。日本食はまったく食べられない。パスパートの空白ページよりも、使ったページの方が多くなった。
以前は忙しくてゆっくり音楽を聴く暇もなかったが、今は目覚めたらまずコーヒーを煎れ、パソコンから本日の一曲目を選ぶのが日課になっている。
1日に使える時間と体力と精神力の大部分を費やし、決まった額の月給を貰う代りに、気が向いたらサイトの更新をして、月々わずかばかりの広告収入を稼ぐ。
もちろんそんな収入では暮らしていけないのだが、毎月上がったり下がったりする金額を見るのが楽しい。先月はなぜか急にアクセスが増えて、月の訪問者数が3万5千人を越えた、それに応じて広告収入が倍になった。
そういえば、学生のころのバイトは純粋に労働としての達成感があった。お金をもらえる喜びもあった。しかし社会人としてのそれは、いつのまにか、責任感と忍耐力の切り売りになっていたように思う。自分のやった事が、単純な形でお金になるのは素直に喜べる。久しく味わうことのなかった気持ちを思い出した。
日本では仕事漬けの生活で、給料をもらっても口座残高が増えるばかりで、金を使う暇も元気もなかった。今は当然ながら残高は減る一方。これが会社経営ならば民事再生法の適用を申請すべきところだが、それどころか毎月ユニセフに寄付金を送っているのだから、お金の価値観が昔とは違ってきたようだ。
いろんな国を旅していると、お金の価値というものはコロコロ変わる。国境を越えると、宿代が跳ね上がったり急落したり、同じ物が倍額、もしくは半額になったりすることもある。
物価だけではなく、お金は持ち主によっても価値が変わる。一枚の硬貨にお礼を言う物乞いと、少ないと不平を言う物乞いがいる。少しでもお金を搾り取ろうとする人々の中、僕に何かをおごってくれたのは、決まって貧しい国の人たちばかりだった。
先日、自転車で2年間旅をしているというドイツ人に誘われて、一緒にお茶を飲んだ。僕よりも10才は年上だろうか。1時間ほど、どうでもいい雑談をした後、彼が自分の時計を見て、次に僕の手首に視線を移して言った。
「時計は持っていないのか?」
僕は以前持っていたけど、無くしたことを話した。無くして2カ月も気づかなかったから、時計は必要ないと思い至り、それ以来持っていないのだと続けた。彼はその話が気に入ったらしく、笑顔で何度も頷いて、おもしろいおもしろいと呟いた。
僕は旅を続けているうちに、いろんな事にこだわったり、いろんな物を抱え込み、自分を縛り付けてしまうのを止めてしまった。未来は未来の自分に任せ、あるがままの流れに身を投じてしまおうと…
簡単に言うならば、欲張り過ぎなければ、もっと楽に生きていけることを知ってしまったのだ。
中東の国々は、どこもかしこも砂漠で暑い土地だと思っていたが、さすがに11月にもなるとヨルダンも寒くなってきた。雨季になったらしく、曇りの日が多くなり、小雨もたまに降る。
コピー CD や DVD を店先に山積していた店が、ニットの帽子を前面に出してきた。ひと月前はTシャツだった人々が、皮のジャンパーを着て、首にマフラーを巻いている。
僕も、バックパックの底にしまってある14年物の Carhartt のハーフコートをひっぱり出すべきかどうか思案している。それより早く南下して、エジプトの紅海のビーチを目指した方が懸命かもしれない。
今年の誕生日は、ひとりひっそり、雨の降る寒い一日だった。
HAPPY HAPPY BIRTHDAY!!
加倉さんらしい旅をこれからも続けて下さい。
小さな町から元気で無事である事
素晴らしい出会いと出来事
沢山の笑顔と涙
そして素敵なお土産話を持って帰国される事を
気長に待ってます。願ってます。
with special love… susie
4年目、35歳。オメデトウ御座います。
長い旅、移動が大変なのでは、もうそれも日常化したか、「奥の細道」旅を住みかとする。もしかしたら移動の旅行者で日本人最長記録かもよ(留学があるな)日本に1時帰国もないし。少なくとも飛行機使わない旅、賃金労働なしの最長記録保持者でしょう。「伝説の人」になりそうナ。。。
四国八十八箇所、幸いにも2回完歩した私ですが、1週間10日目が苦しかったな。
「旅」が日常化し、最終目的をどう定めますの?行けるまで?歌”あてどの無い旅”、、
中国人街には?習った中国語が使えるヨ。
生日快楽!
恭喜!恭喜!
ダイスケさんがどんどん遠くに行くごとに
どんどん大きな人間になっていって、本当に
遠い人になっていってしまっているような。
またダイスケさんはコーラーで私はビール片手に
お話ししながら飲みたいです。
初めまして。通りがかりの旅行者といいます。
かつて、これと言った大きな目的もなく旅行をしていたので、加倉さん今日の記事には共感しました。
今後も足跡を追わせていただこうと思います。
では。
35歳!!もう、ただのおっさんです!!親父臭しまくってます!!ミーは鼻もげそうっす!!ミーはまだピチピチの32歳!!四捨五入したらYouは40・・・。ミーは30!決定的な差です!ミーから見たらYouは団塊世代の尻尾みたいっす!!最初に出会ったのはワシはまだ18歳、そっちはまだ20歳。随分と昔やな〜。学校サボりまくって酒ばっかり飲んでたワシが今は毎日ちゃんと出勤するセクシーなサラリーマン。真面目に学校行って夜も勉学に励んでた君が今は自由に旅する脂ぎったおっさん。当時予想できた未来とはワシらの現在はかなりちゃう気がするけど、お互い同じお天道様の下でそれぞれ元気なのは嬉しい事や。誕生日おめでとうさん。気をつけてうろつきや〜。
アンマンで同時爆破テロがあったみたいですが、大丈夫でしたか?
加倉さん、はじめまして。
少し前から、写真をデスクトップの壁紙に使わせていただいてます。
私は、“旅の途中”をしたことも、会社に身を売ったこともないけれど、加倉さんの日記を読んで、涙が出てきました。
この年になって、やっと、色んなことを受容する方法が分かってきたところです。
それでは。
大輔さん!
お誕生日おめでとうございますぅ♪生日快楽♪
この日記を読んで、少し焦ったり欲張ってた気持ちが、
落ち着きましたよぉ!
これからも、お体に気をつけて。。非常好的旅行でありますように!!
私は、昨日韓国から久しぶりに日本に帰ってきました。
日本での生活感覚を取り戻すのに、少し時間がかかりそうです。。はは^^
お誕生日おめでとう。去年も書いたようなきがするけど・・・時間がたつのは早いね。
日々の忙殺ですっかり余裕なくしてました。
今はスローライフ入門を読んで、自分のありかたを見つめなおしたいなぁと思っていたところで、これを読んで、なんとなく落ち着いたよ。いつもありがとう。
お誕生日おめでとうございます♪
>欲張り過ぎなければ、もっと楽に生きていけることを知ってしまったのだ
→欲張りすぎていつも痛い思いしている私には
→イタタ・・・・
な文章でした(*〜*)
次のカキコも楽しみにしています。
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