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アガスティアの葉の謎を暴く ~ 第二章 インドからの脱出

インドのシリコンバレー バンガロール

The Day 889 - 2005-04-13 Wed 22:50 Bangalore, India… R.E.M. - Try Not To Breathe
バンガロールのオートリキシャ

南インドの真ん中あたりに、バンガロールという都市がある。標高 950m の高地にあるこの都市は、年間平均気温が 23.6 度と、南インドで最も快適な環境を有する。

インドの4月は夏の真っ盛りで一番暑い時期だが、確かに日差しは強いものの、町中を歩き回っても汗をかかない。夜は扇風機を止めないと、寒くて寝られないほどに涼しくなる。

僕は大都市が嫌いで、できれば避けて通りたいのだが、観光客は見向きもしないこの都市へわざわざやってきた。

というのも、バンガロールはインドの IT 産業の中心地として、近年急速に発展しており、インドのシリコンバレーと呼ばれている。インド人エンジニアの頭脳と、安い労働力を求めて、世界中から IT 企業が押しかけているのだ。

元プログラマの端くれとして、インドのシリコンバレーとはいかなるものか、ちょっと見てみようと思ったわけだ。

ちなみに、もう10年以上も前の話だけど、僕がアメリカでプログラマとして働いていた時、出張でシリコンバレーへ行ったことがある。しかも、そこがシリコンバレーだと知らずに。

そのシリコンバレーを、シリコンバレーだと知らずに車で走っていると、有名 IT 企業がパソコン雑誌のページでもめくるかのように、次から次へと現れて驚いたのを覚えている。もっと驚いたのは、今でこそニューヨークのマンハッタンにもある、吉野家があったこと。

僕は限られた出張の日数で仕事を終わらせるべく、取引先のオフィスで深夜まで働き、体力も集中力も使い果たし、寝静まった街を腹ペコで運転し、並一丁を念仏のように唱えながら吉野家へと車を走らせた。

すると、あろうことか、あぁ、あんなことが起きるなんて、なんと、吉野家は閉まっていた。

当時のシリコンバレーの吉野家は24時間営業ではなかった。あの時の衝撃と絶望感、代わりに食べたウェンディーズのダブルチーズバーガーセットの敗北の味、今でも夢に見て泣きながら目が覚めるほどだ。

さて、そのシリコンバレーの思い出と、インドのシリコンバレーの現状を比較すべく、僕はバンガロールへやってきた。

しかし、街を歩き始めたとたん、この街はとてつもなく深刻な問題に直面していることを知った。急速な発展に公共交通機関の整備が追いつかず、街は3輪バイクのタクシーで溢れ返っているのだ。

3輪バイクのタクシーをインドではオートリキシャと呼ぶ。道を走っているのは、ほとんどそればかりと言ってもいいほどだが、それでもまだ足りないらしく、オートリキシャを拾おうと待っている人々が街角にたくさん突っ立っている。

普通なら乗れ乗れとしつこく向こうから迫ってくるが、ここ、バンガロールでは乗客の方が選ばれる立場にあり、乗車拒否を受けたのも初めてだった。

しかし、僕が問題だと言っているのは、オートリキシャそのものではなく、その膨大な数のオートリキシャが吐き出す排気ガスだ。排気ガスのせいで、街の空気が白い。おおげさに言っているわけではく、霧でもかかったように、文字通り白い。

息を吸うと、2サイクルエンジン独特の潤滑油の混じった廃棄ガスの臭い。環境問題で大気汚染の話が出ると、決まって北京とバンコクが代表に上がるが、僕はそのどちらよりも、バンガロールの方が酷いと感じた。

僕は北京でもバンコクでもマスクをしなかったけど、バンガロールではマスクなしでは耐えられなかった。北京で SARS の蔓延中に手に入れたマスクが今頃役に立った。もはや人間が呼吸できるような空気ではない。

都市の中心から少し離れれば、だいぶ汚染も少ないのだろうが、僕は2日目にはニューデリー行きの切符を買い、IT 企業が何だとか、もうどうでもいいから、とにかくここから逃げ出すことにした。

都市の急速な発展は多くの人々を経済的に豊かにしただろう。しかしその代償として犠牲にしている物は、空気という、存在感は薄くとも、最も大切なもののひとつのようだ。


加倉大輔2005-04-13 Wed 22:50 TrackBack
この記事の感想

排気ガス、カトマンズ盆地では余り気ずかなかった?昔と比べたら汚れたと。
興坪は空気も良いし、緑も沢山。都会からの御客様は満足されます。好天なら星空ですし、南十字星の写真を撮りたい!デジカメで撮れる?プリントから間接でか?

hayashi2005-04-19 Tue 05:19
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