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理想の社会とは アガスティアの葉の謎を暴く ~ 第二章

アガスティアの葉の謎を暴く ~ 第一章

The Day 885 - 2005-04-09 Sat 22:43 Kanchipuram, India… AB Logic - Top Secret
アガスティアの葉

昔々、そのまた昔、アガスティアという人物が数万人に及ぶ人々の一生を書き記したという、アガスティアの葉。

その膨大な数の葉の中から、自分の一枚を探すことができれば、そこには一生のすべてが記されており、自分の名前はもとより、両親の名前、家族の健康状態、結婚する相手と居所、どんな仕事に就くかも、死ぬ時期と場所をも知ることができるという。

これを聞いた人々は、みんな目を丸くして古代のロマンに夢を膨らませ、声を揃えて言うはずだ、すごい!!

そう、そして僕もアガスティアの葉を知った時、こう思った。

    う   さ   ん   く   せ   ぇ   !!!

A型でデジタル思考なプログラマの僕は、こういう不思議な物は何でも疑ってかかる。しかし、人から聞いただけの話で、そりゃウソだよと決めてかかるのはよろしくない。そこで、自分で体験してから、ウソだと決めてかかることにした。

冒頭で夢とロマンに目を潤ませて、思わず胸がキュンとなってしまった人、最初から言っておくが、これは夢とロマンと人の商売をブチ壊す、言論の自由バンザイなやりたい放題な話である。ロマンのともし火を胸に秘めて、純粋な心のままで生きていきたい、サンタクロースとツチノコの存在を信じているような無垢な人は、ここで読むのを止めた方がいい。

僕もできることなら、ロマンはロマンのままでそっとしておきたいところだが、このサイトでその謎を暴いてくれとリクエストを受けたので、期待に応えるべく、大槻教授 (今でもテレビ出てるのか?) 並みの意地悪根性全開でこれを書く。

さて、アガスティアという人物、ヒンドゥー教の仙人で、海水を飲み干したという神話が残されている。飲み干した海水が、広大なベンガル湾並みの量なのか、コップ一杯なのかはわからないが、神話なのでそれはどうでもいい。

実在したのかどうかは、なにせこれも神話なのでわからない。しかし、アガスティアの葉と呼ばれる数万の木簡が、コルカタ (カルカッタ) など、あちこちの大都市の博物館に保管されているらしい。

これらの木簡には、古代タミル語で、人々の病気や健康状態などの情報が記されているらしいが、これはカルテや処方箋のような内容で、あなたの結婚相手はマサオさんで、お父さんはナミヘイです、なんてことは書かれていないという。

それがどういうわけか、現代のアガスティアの葉には個人情報が満載で、本人させ知らない未来のことがいっぱい書いてある。しかも都合のいいことに、現代タミル語で書かれている。どこかの親切な人が書き直してくれたのだろうか。

僕が自分の葉を探しに行ったのは、南インドのカーンチプラムという町。沢山のアガスティアの葉を所蔵して、たった一枚を探してくれる場所、代理店というべきか、店というべきか、そういう場所はインドにたくさんある。

では、どこの店が自分の葉を所蔵しているのか知る必要があるが、それは心配ない、外国人、特に日本人はどこの店へ飛び込んでも間違いなく見つかる。僕のも見つかった。

アガスティアの葉は全部で12章まである。最初に訪れた人はまず第1章を探し、それが見つかれば、他の章は何ページへ続く… といった具合に繋がっているので簡単に探し出せる。

第1章を探すには、1,000ルピー (2,500円) で、他の11の章はひとつにつき、500ルピーの追加料金がかかる。右手の親指の指紋を採り、国籍と名前のイニシャル D だけを告げて、30分待つことになった。

本来、次の日に来てくださいとなるはずだが、忙しい時代背景のせいか、1,000 ルピーというインドでは大金を惜しげもなく払う外国人へのサービスか、僕は20分も経たないうちに、待ちくたびれているインド人を押しのけて奥へ通された。

第1章には、自分の人生の大まかな情報と、両親の名前が記されている。この両親の名前が当たるというので、みんなビックリ仰天して、大金をニコニコしながら払うのだ。

もっと細かい結婚相手の名前だとか、お金、商売、病気、2回目の結婚時期、死ぬ場所と理由などを知りたい場合は、すべて別の章に別れていて追加料金となる。

個室に通されて待っていると、すこぶる愛想のいいインド人のおっちゃんが、大事そうに木簡の束を運んできた。50枚ほどの細長い木簡が紐で束ねられていて、一枚一枚の両面に細かい文字が書き込んである。アガスティアの葉は、実際は葉っぱではなく、薄い木の板の木簡だ。

この中に沢山の人々が住んでいます。あなたの葉を探すのに質問をしていきますから、イエスか、ノーで答えてください。

おっちゃんはそう言うと、2時間以上にも及び、数々の質問を浴びせかけてきた。質問の内容はというと、あなたの生まれた月は3月ですか、両親は生きていますか、あなたの姉妹は2人ですか、あなたは結婚していますか、兄弟は3人ですか、母親は働いていますか、父親は健康ですか、あなたが生まれたのは15日から18日の間ですか、兄弟に子供はいますか、あなたは28才ですか、姉妹は3人ですか、あなたは双子ですか、父親の仕事は歩合制ですか、あなたは長男ですか、母親は障害者ですか、あなたが生まれた月は10月ですか…。

とまぁ、他愛もない質問が延々と続き、1本目の木簡は終了し、この中にあなたの葉はありませんということで、2本目が運ばれてきた。

もうこの時点でカラクリはバレバレだ。いくらイエスとノーしか答えなくても、それだけ虱潰しに質問をしていけば、消去法でどんな答えでも導き出せるではないか。消去方だから、あなたは3才ですか、あなたはフランス人ですか、あなたの兄弟は18人ですか、などの予め消去できる質問はしない。

情報が絞り込まれていくと、質問の内容がだんだんと詳細になっていく。あなたの母親の名前は3文字ですか、父親の名前の2文字目はカ行ですか、ア行ですか、サ行ですか…。母親の名前の最後の文字はタ行ですか、ア行ですか… ときた。

なんで古代タミル語で書かれていたはずの木簡に、日本語のア行とかサ行が出てくるんだろう。このおっちゃんは日本語を話せるのかもしれない、少なくとも50音はすべて習得していて、サ行にはザジズゼゾも含みますと言うではないか。

母親の名前はなんですかと素直に訊いたらどうでしょう、僕はそう言ってやりたかったが、アホみたいにイエスとノーを答え続けた。

実際には数百にも及ぶ、いろんな質問を織り交ぜて訊いてくるので、自分が母親の名前は3文字で、1文字目がカ行で、2文字目がア行で、最後の文字がカ行で終わると答えたことを忘れてしまう人もいるかもしれない。

それだけ訊き出せば、僕の母親の世代で日本人の女性の名前なんて、一覧表を作れば数個に絞り込まれるだろう。その中から、名付けられた名前の多い順に言っていけばいいのだ。そんな一覧表をどうやって作るのかって? 本屋へ行けば売っている。

2本目の木簡の束が終り、3本目の後半で僕の葉が見つかった。今までの質問からイエスだったものだけを取り出し、うーむ、これっぽいかなという感じで、並べていく。ノーと答えられては台無しなので、ここでは新しい質問は出ない。そこで注目の両親の名前の発表となるわけだが…。


加倉大輔2005-04-09 Sat 22:43 TrackBack
この記事の感想

タミル語で、なぜ日本語の50音順なんだ、とありましたが、最近読んだ本の中に、日本語の50音順はそもそもインドの言葉からきているとありました。
常識的にはサンスクリットで、仏教とともに入ったと思いますが、詳細は忘れました。確かタミル語も50音だったような気がします。お調べください。
ただし、私は「アガスティアの葉」の回し者ではありません。

タン2007-12-05 Wed 22:40

調べました。

まず、タミル語はドラビダ語族に属しており、南インドを中心に使用されている言語族のひとつだそうです。かなり限られた地域。

そしてすでに死語であるサンスクリットは、インド・ヨーロッパ語族です。英語やドイツ語、フランス語、イタリア語、スペイン語、ロシア語、スウェーデン語など、ヨーロッパの大部分の言語がこの語族です。サンスクリット語と、ギリシア語やラテン語は共通の起源とのこと。

そして、我らが日本語は、朝鮮語、モンゴル語などと同じ、アルタイ語族だとする説が有力なようですが、実はどこにもはっきり分類されていない。

他の言語から孤立して発達しており、どの語族に分類するべきか、はっきりした証拠がないらしい。さすが島国の言葉。ガラパゴスゾウガメみたいな貴重な存在です。

中国から漢字が伝わるまでは、悲しいことに日本語には文字がありませんでした。そして問題の五十音ですが、ひらがな、カタナカは、日本語が千年をかけて漢字から発展させたもので、日本語の音節を表すために作られたものです。

仮名文字そのものは、漢字を簡略化して作られたわけですし、最初に日本語読みの漢字ありき、だったわけですね。五十音は漢字の音と、形からできたわけです。ちなみに、中国語には五十音などはありません。

インドの諸言語とは、語族からして違うように、どうやら、五十音のインド起源説はかなり怪しいです。

もし、タミル語やサンスクリット語に、五十音に類似したものがあったとしても、日本語の五十音とは、似て非なりだと思われます。僕が調べるまでもなく、言語学者が気づかぬはずがありません。

サンスクリット語は、仏教とともに日本まで伝来していますが、仏教の経典は、中国経由の漢訳されたものです。和尚、刹那、旦那、などの言葉はサンスクリット語が起源だそうですが、いずれも漢字になってから伝わっています。

最後にダメ情報。

インドあたりをウロウロしているバックパッカーは、大麻のことを「ボン」と呼びます。サンスクリット語=梵語、のボンです。サンスクリット語では「清浄」の意味だそうで、その音訳だとか。

参考資料:
Microsoft Encarta 99 日本語版
ブリタニカ国際大百科事典
学習研究社 新世紀ビジュアル百科事典
岩波書店 広辞苑 第5版
岩波書店 日本史辞典
自由国民社 現代用語の基礎知識 1998
小学館 日本語大百科全書
通信用語の基礎知識 1.4 ほか

加倉大輔2007-12-11 Tue 05:16

きのう、図書館で何の気なしに「世界の言語ガイドブック2 アジア・アフリカ地域」<三省堂>という本を借りて
昼休みに読んでいたのです。
そして、今夜、この欄に書き込んだことなどまったく忘れいたのですが、私のコメントに誠実に調べられたのてすね。感心しました。
それで、これではまったく「アガスティアの葉」のような予知めいてきますが、私が昼休みに読んでいたのは、そのサンスクリットから借用したという、日本語の50音に関することだったのです。同書の65ページ、「この音列は日本語の「アイウエオ」という配列の基となったが、もともと50音図は、梵語・梵字を研究する悉曇学によって考案された」とあります。詳しくは同書を読まれたし。

タン2008-01-15 Tue 23:49
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