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| インドの犬は幸せか? | 20年前の人に本の中で再会 |
夕食の後、毎日立ち寄る売店でチョコチップクッキーと瓶入りのコーラを買った。あわせて23ルピー (58円)、50ルピー紙幣を渡しておつりをもらう。
300ml 瓶のコーラは8ルピー (20円)。瓶を持ち帰ると瓶代を取られるので、店先でグビグビ飲む。僕が子供の頃、日本でも使っていたコーラの小瓶、なんとなく懐かしい。
インドでは瓶が主流で、355ml のアルミ缶はなんと18ルピー (45円) もする。たった一口分多いだけなのに、倍以上の値段だ。洗うだけで再利用できる瓶は安くて、再利用できず、再資源化にエネルギーもお金も必要なアルミ缶は高い。
ちなみに 600ml のペットボトルは、アルミ缶と同じ18ルピー。こうなると、中身のコーラの分量なんてものはどうでもよくて、僕らが払っているのは、容器の値段だということがよくわかる。
一升瓶もそうだけど、日本では再利用できる瓶はほとんど姿を消してしまった。昔はコーラの1リットル瓶を店に持っていくと30円もらえたので、アイスを買う足しにしたのを覚えている。酒屋でも駄菓子屋でも八百屋でも、30円で空き瓶を買ってくれた。
瓶は重くてかさばるので、運搬に余計なエネルギーもお金も必要になるが、そのエネルギーも資源も使い捨てのペットボトルが、すべて化石燃料から作られているかと思うと空恐ろしくもなる。地球が暖かくなっていくのも頷けるというものだ。
軽くて割れないペットボトルは確かに便利だが、酒屋の裏から数本の空き瓶を盗んで、八百屋で換金してアイスを買うという生活の智恵、というか泥棒行為はできなくなった。残念でならない。
チョコチップクッキーは少し高くて15ルピー (38円)。さっき食べた屋台のチキン炒飯が16ルピー (40円)。この、なんの栄養価地もなく、虫歯の原因にしかならない砂糖の塊が、一食分の食事と変わらない。
その一食が食べられずに物乞いをしている親子連れを横目に、コーラとチョコチップクッキーを買う。自分が稼いだお金で買うのだから、堂々と箱買いでも先物買いでもすればいいのだが、贅沢をしていることを感じずにはいられない。
宿でコーヒーを入れて本を読む際、そこにクッキーが欲しい。
物質的に豊かな国に育つということは、あるいは物質的に豊かになるということは、本来どうでもいいことをもっともらしく、ただ欲しいだけで必要ではないものを、無くてはならないものだと信じ込んでしまうことなのかもしれない。
あるいは、社会の仕組みが、企業の広告活動が、人間が生きていくために必要なものを増やし続けているのかもしれない。
コーラが8ルピー、クッキーが15ルピー、合わせて23ルピー。5分ほど店先に突っ立ったままコーラを飲んでいて、もらったお釣が足りないことに気付いた。
店のおやじに、さっきおつりを22ルピーくれたけど… と言いかけると、待ってました、よく気付いたな、と言わんばかりに、あと5ルピーのおつりだといって一枚の硬貨を投げてよこした。
インドではよくある。少なく渡して、客が気付かず帰ってしまえば儲けもの。僕は日本ではおつりの勘定なんかしなかったけれど、旅に出てから釣銭の勘定は客がするものだと学んだ。
クッキーを手にした僕。おつりをごまかそうとする店のおやじ。そのおつりをくれという物乞い。今日もインドでの一日が終わった。
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