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| ラサ発ネパール行き | エベレストの夜 |
エベレストの中国側、最後の宿泊施設がある絨布寺からベースキャンプまでの道 8km。荷物の半分以上は下に残し、服とわずかな食料だけを背負って、僕はその道を歩いた。
空気が薄い。
僕はもともと高山病に弱い体質らしく、標高 3,600m のラサに辿り着くのにも、かなり辛い思いを強いられた。ラサには40日間も居たので、さすがにその標高にはすっかり慣れたが、ここはさらに 1,600m も高い 5,200m。
世界の最高峰、8848m、エベレスト。その山が、僕の目の前にある。
雲はない。青い空を背にし、真っ白な雪を分厚く纏い、所々見える岩肌は、そこが断崖絶壁であることを見せ付け、鋭く尖った頂は誇らしげに聳え立ち、近づくことさえ許さぬと言った厳格な態度を示している。
2時間で歩けるという道のりを、僕は3時間以上かかった。10歩あるいては休み、また10歩あるいては休む。心臓の動悸を抑えようとするが、長々と休んでいれば体の芯まで冷えてしまう。
目の前にある偉大な山。実際には遥か遠くにあるのだが、あまりにも巨大なために目の前に感じる。僕が足を引きずった一歩のあゆみなど、この巨大な山の前では何の意味もなさそうだ。
それでも僕は、一歩、また一歩とベースキャンプを目指して歩いた。余りの苦しさに地面に仰向けに寝転び、体が冷やされ、また這い起きて、歩いた。
ベースキャンプのテントに転がり込んだ時には夕焼けが始まっていた。体は完全に冷え切っている。言葉を話そうにも舌と唇がうまく動かない。空気が薄いせいで頭痛がする。手と足の指先が痛い。
肺は足りない酸素を求めて、僕の呼吸を速くさせ、心臓は取り込まれたわずかな酸素を送り出すために激しく脈打ち、空回りするエンジンのような悲鳴をあげている。
遠のきそうな意識を奮い立たせ、荷物を放り投げ、僕はカメラだけを持って再びテントの外へ出た。
ここまで来て、このチャンスを逃してなるものか。
視界の開けた場所まであとわずか。このわずかが千里にも万里にも感じる。草一本生えていない小石ばかりの大地。足を引きずり、あと一歩、あと一歩、最後の力を振り絞り、遥か遠くにあるエベレストに歩み寄った。
しんと静かな冷えきった空気の中に立ち尽くす。砂利を踏みつける音が消えて、僕の窒息寸前のような呼吸と、悲鳴をあげる心臓の鼓動の音だけになった。
そして両の目に飛び込んできたエベレストの、夕陽に燃えゆくその姿は、最後に残っていたすべての音をかき消し、僕を放心させた。
この瞬間のために僕はここまで来たんだ。
いくつもの奇跡が重なり合う瞬間。
大自然の織り成す途方もなく圧倒的な美の瞬間に立ち会うために。
一生に一度、エベレストBCへ、目的達成!苦しかった。高度順化が、1600mラサより高い!暖かいお湯を、夜のトイレは禁物、身体が冷え切ってしまう。午前中に沢山飲んで、午後は控える。歩き途中で限界だったかも。でも死なずに写真も撮れて!成功です。苦しかった!一生に一度。
お願いしていた ラサからエヴェレストベースキャンプへの行き方を、実証していただいたんですね。
高山病大丈夫ですか?水を沢山飲んで
無理しないでください。ところで、カトマンドゥの治安は正常化しているのでしょうか?
そちらも、怪しければラサに戻ったほうが良いかも?
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